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Eternally    07.24.2007
(このお話は『仁神堂シリーズ』番外編『A.S.A.P.』の鷹男サイドの続きになっています。詳しいお話が分からない場合は、『A.S.A.P.』をお読み下さい)


Eternally


 肩を、叩かれた。
「こんな所で寝るな」
俺を起こしたこのホテルの部屋の主は、不機嫌そうなおっかない顔で着ていたスーツを脱いでいく。
「ん……あ……なんだ。帰ったのか」
時計を見た。
午前2時ちょい過ぎ。
「古い知人と会食があってな。勉強をしていたようだな」
俺が読んでいた『ビジネス英会話入門』のテキストを取り上げて、小馬鹿にしたような、呆れたような声音で俺を茶化す。
「そうだよ。悪いかっ。俺はあんたら兄弟みてーに英語環境で育ってないESL(English as a Second Language)なんだよ!」
「せいぜい頑張ってみる事だ」
ポイッて教科書を俺の頭越しに放り投げたその時。
ちょこっとだけ女の匂いが……上品な香水の匂いが鼻を掠めた。

眠気が一気に覚める。

「鷹男あんた……その知人って、女?」
鷹男は全裸になって、バスローブを羽織る。
「ああ。親父が世話になった方のお孫さんだ。紅と同じ学校にも通っていた」
キッチンへ向かい、ミネラルウォーターのボトルを掴むと、鷹男は一気にそれを煽った。
「じゃあ、紅も知ってんのか?」
「紅の方が、俺よりも彼女と親しい」
「ふうん……」
水を飲み一息つくと、鷹男は本棚から日本の経済雑誌を一冊掴んで俺に放り投げる。
咄嗟にそれをキャッチした俺に、
「KUNIMOTOの特集ページを開いてみろ」
と指示した。
俺は言われるまま、手の中の雑誌を開いた。

KUNIMOTOはもちろん俺でも知っている。
いや、日本人で
SO〇YやPANA〇ONICと並ぶ世界の家電メーカー名を知らない人はいないんじゃないかと思う。
現にうちの家のテレビはKUNIMOTOのものだ。

「その女性と会食してきた。羨ましいか」
ペットボトルを片手に、カウチに深く腰掛けた鷹男は、俺の反応を楽しそうに待っている。
その雑誌の特集インタビューに載っている写真の美人は、20代後半…だろうか。
さくらさんのような上品さと清潔さに加え、知的さと内に秘めた何か……鷹男も持ってる人の上に立つ人間独自の、崇高さみたいな人を惹き付ける力強い何かを纏っていた。
「結構……好み、かも」
とかつい口走っちまう。
「鷹男まさかあんた………この美人と?」

俺、浮気された……とか?

思ってから、腹の底からムカムカ感が込み上げてきた。
ついこの間、
「俺はお前のものだ」
とか言ってたくせに、何だよこいつは。
パタンって雑誌を閉じて、テーブルに放った。
顔を上げたら、
「くっくっくっく」
て鷹男が俺を見て笑ってた。
「んだよっ。何笑ってんだ、好色男!スケベ親父!」
俺は思いっきり眉間に皺寄せて、腕を組んだ。
「気分がいいと思ってな。お前もそういう心配をするとは」
「自分の男が他の女の匂いプンプンさせてたら、誰だって疑うだろ?シャワー浴びてさっさと寝ろよ」
「そうだな」
鷹男は頷きながら、ペットボトルの中の液体を飲み干し腰を上げた。
「お前は、ああいう女性が好みか?」
バスルームへと続くドアに手をかけた所で、鷹男が俺を振り返る。
「ああいう女って、あんたの浮気相手の女社長か?ああっ、胸でけえし、美人だし、上品そうだし、俺の好みだよっ」
悪いか、と言わんばかりの態度で言い返す。
鷹男は何も言わないまま、バスルームに姿を消した。
俺は鷹男が置いていった、空のペットボトルを思いっきり奴が消えたドアに投げつけた。




 そして、その事を猛烈に後悔した。
一度眠っていたところを起こされた上、
俺は手首を縛られ、ベッドに括り付けられ、目の前の男の好きなようにされていた。
鷹男は、そのギリシャ彫刻みたいな……俺のダチの男モデルなんかより鍛えられた肉体を、惜しげもなく晒して俺の悶える様を楽しんでる。
鷹男の指が、俺の花芯を執拗に弄る。
「んんっっ……」
「もうこんなに濡れているぞ?」
くちゅくちゅと音を立てながら、俺の中に指を突き立てる。
「やっ……鷹男っ……やめろって!うあぁっ!!」
鷹男が俺のケツを持ち上げた。
脚をジタバタさせても手遅れだった。
全開に開かされたそこに顔を埋められ、ぬるっと生温く一舐めされる。
「あああ!!んんっ……ぁあっ」
鷹男の舌が、俺の花園の花弁に沿って移動する。
ゆっくりと下から上へ。
上の方の小さな鈴のような蕾を発見すると、暫くそこで時間をかける。
「うあっ……そこはっ……んっ……」
「もっと、声を聞かせろ…」
鷹男が一瞬顔を上げて俺を見る。
「良い……匂いだ」
「ああっ……俺……やばっ……はあああんっ!」
俺を苛む舌は、容易に離れてはくれなかった。
鷹男が熟知している、俺のスポットを容赦なく弄られて。
上下左右に転がされて、頭の中がどんどんと霧がかかったみたいに霞んでいく。
「鷹男っ……ずりーぞっ!!ああっ……ちょっと待っ……うああああああっ!!!」


目の前の霧が真っ白になり、火花が飛んだような気がした。



 俺がイッたのを確認すると、鷹男はまだ肩で息をしている俺の腕の拘束を解いた。
「……そうだな。今夜はお前に選択権をやろう」
ベッド横で腰に手を当てて立ち尽くす鷹男は、いきり立つソレを恥かしげも無く俺に晒しながら、偉そうにそう言い放った。
「へえ。俺の希望が通るのか?」
俺が疑いの目を向けると、鷹男がにやっと口を引き上げる。
あ、やっぱ何か有る。
「いつも俺なりにお前の融通を利かせているつもりなのだが?」
「融通もクソもねえだろっ。いっつも変な体位とか俺に強要する癖に」
「そうだったか?」
鷹男の大きな手が、俺の胸を包んだ。
巨体がベッドの上に移動して、俺の上に乗る。
筋肉の隆起した脚が、俺の脚の間を割って入った。
「たまにはこういうのも……普通に交わるのも、いいと思わないか?」
もう片方の胸の先っぽを、口に含む。
「んっ......ああっ……」
やばい。
胸の愛撫だけでまた下肢が蕩けそうになる。
鷹男の舌も指も、奴の経験を物語ってる。
女の感じるツボを、確実に押さえてる。
「さ……さくらさんには優しくしたんだろ?俺にもたまには……あぁっ」
俺の語尾が消される。
胸の頂の鷹男の舌が、吸い付いたり転がしたりして巧みに動くから。
「さくらとのセックスは、退屈だった。優しくしてやったが……お前との方が……っ…」
鷹男が身体を一瞬だけ硬直させる。
俺が奴の熱い塊に触れたから。
先端の柔らかい所から滲み出ている汁を、人差し指ですくって傘になっている部分に塗りたくる。

これが、欲しい。
鷹男が、欲しい。

分かっている。
一緒になってから数日置きに身体を重ねるようになって、鷹男の好みや性癖も、もう充分に知り尽くした。
4年前に知らなかった発見も、幾つかあった。
それに。
ずーっと昔にさくらさんが言っていた「優しい鷹男」は、本物の鷹男じゃねえ、っていうのもとっくに分かってた。
本物の鷹男は、サドッ気があって、命令しなれてて、自分本位で、新しい事(っつーか体位とか前戯とか)が好きで、けど何気にちゃんと俺の事気遣ってくれてるって事も知ってる。

「ふあっ……ああっ!」
そんな事をぼんやりと考えてたら、鷹男が俺の花園を熱い棒を持って擦り付けてきた。
「これが、欲しいか?」
張り出した柔らかい部分が、俺の小さな芽の部分を焦らすように突付く。
欲しい。
俺は無言で首を縦に振った。
俺の首筋に顔を埋めていた鷹男が、耳元で再度囁く。
「欲しいか?」
訊ねながら、先端を少しだけ入り口にあてる。
「ほ…ほしいっ」
俺が耐え切れなくて哀願すると、俺の顔を包みながら鷹男がキスしてきた。
同時に、ゆっくりと、中に入ってくる。

もしかして、正常位って超久しぶり……かも。

俺の頭の横に腕をつきながら、鷹男が俺の唇を貪る。
奥まで入れると、またゆっくりと腰を引いた。

堪らない。

俺は脚を鷹男の腰に絡ませ、奴を引き戻す。
鷹男はそんな俺の反応を楽しむように、またゆっくりと腰を動かす。
「そう急かすな……」
耳のふちを舐めてなぞりながら、俺の奥深くに入り込む。
「んんっ……ぁ」
全部きっちりと入れ込むと、同じように腰を引く。

そんな事を繰り返していると、鷹男はだんだんと速さを増していった。

「んあっ……ああっ…あっ……んんっ」
鷹男の身体が徐々に汗ばんでいく。
くちゃっくちゃっと繋がっている部分から卑猥な音が聞こえる。
「お前の中はっ……相変わらず……キツイ……な」
息も切れ切れの鷹男の唸るような声が、耳元で聞こえた。

「ふっ…くあっ…あっあっ…!」
「……っつ……」
鷹男の堪えているらしき呻きと荒い息が耳を掠る。

ゆっくりだった腰の動きは、どんどんと速まる。


「いくぞっ……くぅっ……!」
鷹男が天井を仰いだ。
男らしい端麗な顔の眉根を寄せて。

最後に大きく突き上げられて、俺もまた目の前が真っ白になった。

スコールのように、俺の中で幾万もの熱い滴が一気に注がれるのを感じながら。

「愛している」
って優しい囁きが耳元で聞こえたような気がした。





 「これでも、まだ女が欲しいか?女とは、俺とのような快感は得られないぞ」
「はあ?」
鷹男はしばらくの間、俺と繋がっていた部分から溢れ出てくる自分の白い液体を眺めながら、満足気に呟いた。

もう、朝の5時だ。
朝日が昇ってる。
そして俺は、猛烈に眠かった。

「俺は自分の立場を明確にしただけだ」
「あんたの立場?」

俺と自分の後始末を終えると、鷹男は気だるそうに布団の中に入ってくる。
俺は鷹男の腕の中に納まって、奴の体温と匂いに包まれ、その優しく打つ鼓動に耳を傾けていた。

「英恵さんは、ただの古い知人だ。自分の女がその知人に興味を示しているとは、男としてプライドが許さない上、とても心外だ」
「心外って、てめえが好みかって聞いてきたんだろ」
鷹男が口に拳を置いて一つあくびをする。
「そこで否定すべきだったな。どうやら、俺とお前は女の好みがあまり合わないようだ」
「合わない?」
「お前はさくらや英恵さんのような、知的で清楚な女性が好みのようだが……ああ、胸のでかい、とも言っておこうか。だが、俺は、この胸もケツも無い、細い身体と小生意気な瞳で充分間に合っている」
鷹男が俺の頭の天辺にキスしてきた。
「お前はずっと俺のものだ。他の人間にうつつを抜かす時間など永遠に与えるつもりは無い。覚えておけ」
「うつつを抜かすも何も、俺に拒否権なんてねえんだろ?」
「無い。お前は俺の......飼い猫だ。いや、鷹になった鳶とでも言っておこうか」
そこで鷹男は何かを思い出したようにフッと噴き出した。
「わけわかんね」
いい加減、寝かせてくれよと言わんばかりに俺は鷹男の腕に顔を埋める。
鷹男は俺を引き寄せながら、小さく囁いた。
「休暇を、とる事にした。再来月7年ぶりにグァテマラのレインフォレストにでも行こうと思う」
「休暇?!レインフォレストって...ジャングル?!」
俺はその言葉に驚いて,眠いながらも顔を上げる。
だって、
根っからの仕事人間の鷹男が、仕事を放って休暇を取るなんて信じられなかったから。
しかも、グアテマラの熱帯雨林。
何故にグアテマラ?
「昔そこで...ナイフと水筒だけ持って数日間サバイバルをした事があってな。ヘリコプターからスカイダイビングをして、着地地点から人が住む集落地を目指すというものだった。なかなかな経験だったぞ」
俺の頭の中の疑問を読み取ったかのように、鷹男は説明した。
悔しい事にこいつは、いつも俺の言葉や行動を先に読み取りやがる。
でも、何故にサバイバル?
なんだ、甘やかされて悠々とした生活送ってきただけのお坊ちゃんじゃねえのか、鷹男は。
……いや。
かなりの負けず嫌い(悔しい事に俺以上に)な上、鷹男は根っからのチャレンジャーだ。
ファイターだ。
それに、休暇だからってダラダラ意味も無くハワイとかビーチでバカンスや観光ってタイプじゃないのは、確かだ。

それにしても、グアテマラのジャングルでサバイバルかよ。
また俺の知らない鷹男の新たな面が、垣間見えた気がした。
俺を鋼のような身体で熱く包むこの男について、もっと知りたい。
この男から色々学んで吸収したい。

それまで、ぜってー離してやんねえからな。
覚えとけっ。

「俺も行っていいか?サバイバル、してみてえ」
「そう来ると思った。蟻や虫を食いながら何日もの間生活が出来るか?」
虫.........。
「虫やそれらの幼虫は食物の無いレインフォレストで生き残る為の良い蛋白源になる。慣れればそんなに苦にはならない」
鷹男が俺の好奇心を試すかのごとく続ける。
一瞬躊躇ったけど、
「おう。食ってやろーじゃんっ」
とニヤリと笑ってやった。
「お前はやはり、俺が認めた女だな」
そう返すと、鷹男は安心したのか口元を緩める。

「他の人間が好みなどと、俺の前で軽々しく言うな…」
小さく唸るように俺に素早く耳打ちすると、
鷹男はそのまま目を閉じた。

いつの間にか、俺を包んでいる男の寝息が規則正しいものへと変わっていく。
鷹男の体温と鼓動に心地よさを覚えながら、俺もそのまま深い眠りについた。





3時間後。
朝8時。

「お前はナポレオンか!」
と突っ込みたくなるのを押さえて。

たった3時間しか寝てないのにすっきり顔で目覚めて支度をし、秘書とSPを伴って部屋を出て行った鷹男を、俺は眠気まなこでホテルから送り出した。




一言:バカップル誕生。鷹男さんから漂った香水の匂いは、恐らく別れ際ハグ(HUG)した時についたものでしょう。......と作者は推定。
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