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Give 2 me     06.26.2007
<side Beni>




 
コンピューターで修正作業をしながら、ぼうっと考え事をしていた。
「あっ」
間違えて違う色をクリックしてしまう。
水色のジャージに小さな赤い染みのような色がついてしまった。

冬物の撮影の準備で、最近は本社の企画部と毎日のように顔をあわせてミーティングをしている。
話題に上るのは、いつも翠。
彼女の出ている広告が、巷で話題を呼んでいるからだそうだ。

ロングヘアでビキニを着て海をバックに水と戯れている、翠。
自分が撮影していながらも、水と彼女との相性に今更ながら驚く。
青い海に彼女のグレーの瞳が映えて、白い飛沫をあの少し濃い象牙色の肌で受け止めている。

モデルに関しての問い合わせもカストマーサービスホットラインやらBREEZEのウェブサイトに殺到している、と言っていた。

少し前までは、誰も翠の事なんて知らなかったのに。

マウスから手を離して、俺は手のひらを見た。
手の中に居た鳥が、羽ばたいて飛んでいってしまうような感覚。
いや、翠の場合は眠っていた虎が覚醒したって言った方が正しいのかも。

「あーあ」
このやるせない気持ち、どうしたらいいんだろう。
コンピュータースクリーンの前で腕を組んで顔を顰める。

あんなあからさまに兄貴の事が好きって態度で示されて、それでも翠の事が諦めきれない俺はただのアホだよね。
しかも兄貴の前で10年ぶり位に、『あの症状』が出てしまった。
また、カウンセリングに行かなきゃ。

2日前、翠と喧嘩別れして独りになって、急に怖くなった。
考えれば考えるほど、胸がズキズキする。
唇を、噛んだ。
両腕で肩を抱く。
まるで翠に抱きしめられているみたいに。
ぎゅうぅっと掴んで、手を離した。

「ばっかみたい」
呟いて、また唇を噛む。
この2日間、こんな事の繰り返し。

携帯に手を伸ばした。
着信無し。
この携帯を15分毎にチェックしている自分にも笑える。
「電源切るからね」
電源を切り携帯を放り投げ、寂しく空いた手に本を取った。
パラパラとページをめくる。

駄目だ。
翠が頭から離れない。

携帯だって気づくと電源入れて再度チェックしてるし、本の内容も写真の修正作業も身に入らない。
食欲すら湧かない。

あるのは、彼女を想って起こるフィジカルリアクション。
現に今も......下半身が熱くなっていっている。

俺に抱かれた時の......翠の悶えた顔。
彼女は兄貴にもあんな顔してるのかな?

考えて、自己嫌悪に陥った。
やり場の無い怒りが沸々と込み上げてくる。
それなのに、あそこはどんどんと主張をはじめる。
はあーっと息を吐いて、ベッドルームまで足を引きながら向かう。

ジーンズにTシャツ、下着をも脱ぎ去ると俺はベッドの上に仰向けになった。

もう何回、抜いただろ?
あの翠の顔を思い浮かべながら。

左手で熱くたぎりはじめたモノを握る。
右手は更にその下の窄みへ向かう。
何度か右手の中指を口に含んで、その窄んだ菊花に埋め込む。
濡れた指は、容易にその皺の寄った部分に飲み込まれる。
「んっ………ぁ」
数度深く出し入れして、前立腺の辺りを刺激する。
左手の中の分身は、上下に擦られて大きさを増していく。
「ふぁっ……ぅぅっ……ああっ」
気持ちが良すぎる。

そういえば、と思って指を抜く。
足を引いてクロゼットを開け、前に翠と買い物に行った時購入した細めのバイブを取り出した。
電池を入れると、ウィーっと電子音が鳴り小刻みに震える。
ローションを菊花の周りに塗りたくって、俺はそれを挿入した。
「はあぁぁっ!」
お腹の中が満たされて、言葉にできない落雷のような快感が襲う。

「翠っ翠っ!!」
俺は夢中で手の中の棒を扱いた。

多分カウパー線の分泌量は人より多いと思う。
だって、少しの刺激でもいつも先っぽはグチョグチョに濡れそぼってしまうから。

彼女の熱くてきつい中を思い出す。
トロトロと溢れ出す蜜に覆われていた、あそこ。
腰が、勝手に前後に動いた。
そして動く度に、後ろで俺を貫いている小さな棒が確実なスポットを刺激する。
「ああっ……あんんっ……あっ…ふわぁっ」

翠の、悶えている顔。
翠の、淫らな肢体。
翠の、蜜の溢れ出すピンクの花園。
そこから噴出した翠の液体。

俺に応えてくれていた翠を想像する。
あたかも翠を抱いているかのように。

翠の温もりが俺を包む。
俺と彼女の体内から分泌された液が絡まりあう。

限界が、近かった。

手の速さがどんどんと増して行く。

「翠!!ああっもっ駄目っ……!!!!!」

ドバッと俺の先端から勢いよく我慢していた情熱が飛び出る。


出し尽くすと、バイブを引き抜いてそのまま暫く天井を眺めた。






諦めが悪いのは元からの性格だからしょうがない。
きっと初めて翠が俺を抱いてくれた日から、もう心は決まっていたのだ。

翠の、人の良い性格に付け込んでしまうような行為だって、厭わない。
彼女じゃなきゃ、駄目なんだ。

「絶対手に入れるよ」
俺はそう吐き捨てて、起き上がった。









<side Takao>



いつものように、俺達はレストランで向かい合って座っていた。
彼女の顔からは、疲労の色が窺える。
メークでごまかしてはいるが、目の下のくまは濃く大きな瞳は落ち窪んでいた。
聞くところによるとここ数日間、彼女は石田家の長女として、気丈に振舞っていたようだ。
「乾杯」
俺はワイングラスを掲げた。
「色々と有難う、鷹男さん。今日ニューヨークから戻られたのにわざわざ私のためにお時間を作ってくださって」
カチンと合わせたグラスを持つ左の薬指には大きなダイヤが輝いている。
行動が速いな。
俺は心密かに苦笑する。
「お疲れ様、とお互いを労った方がいいかもしれないですね」
言いながら、俺はグラスの中の甘くて酸味の有る匂いを最初に味わい、口に含む。
「ええ......」
「今日、お呼びしたのは他でもない......」
「婚約解消、のお話ですね」
「はい。お察しどおりで」
俺達は暫し顔を見合わせる。
「今ではいくらなんでも時期が悪すぎます。あと数ヶ月したら、私の方から親戚や関係者に報告しようと思っているのですが、宜しいでしょうか?」
俺は出来るだけ淡々と告げた。
「鷹男さんに、お任せします」
さくらはそう言うと、ロックフォールチーズの乗っているサラダをフォークで意味無くつつく。
「人の命って...あっけないものですね。あんなに精力的だった父が、あんなにも簡単に......」
「死は誰にでも平等に訪れます」
冷たく突き放したつもりで、俺はそう答えた。
「そうですね。だから、生を大事にしなければならないのね。後悔の無いように」
さくらはあっさりと俺の言葉に頷いた。
「父の......遺言の中に、鷹男さん、貴方と私の幸せを願うってありました。それを読んで、胸が苦しくなりました」
俺は黙って彼女の言葉を待つ。
「9月にブライアンはアメリカに帰国します。あちらで友人と自分の法律事務所を開く予定で......。私も、今の仕事場で引継ぎが見つかり次第拠点地をアメリカに移そうかと......」
「いよいよですね」
俺は微笑んだ。
「ええ……」
思いのほか、彼女は気の無い返事を俺に返した。
ずっと思いつめた顔をしているようにも、見えた。
彼女の言う父親の遺言とやらが気になるのだろうか。

俺には、関係の無い話だが。
父親という足枷がなくなった今、彼女の人生は彼女次第だ。
ブライアンという男について行くのも、行かないも彼女の自由。
そう。
彼女は自由を手にした。
本人はその自由を前にかなり怯えているようだが。

虚ろに手元を眺めているさくらに声をかける。
「いずれにせよ、先生もさくらさんの幸福を一番に願っていると思います。お幸せになっていただきたいものです」
俺はグラスを持ち上げた。
心からそう思う。
「鷹男さんも……」
「Cheers!」
笑顔を作ると、さくらも俺に合わせてグラスを掲げた。




チン、と物悲しいグラス音だけが辺りに響いた。



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