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紅色吐息 Ⅳ    06.03.2007
 翠は
「色っぽい表情してたな」
と言って俺の体に撒き散らされた白い液を、乳液みたいにマッサージしながら塗りたくった。

それも、気持ちがいい。

「俺も、触っていいか?」
翠がゴムを手に被り、ローションをたっぷりつける。
揉み解す必要は無かった。
既に柔らかくなっている俺の菊花は、つるりと翠の指を飲み込んだ。
「これなら......多分大丈夫だ」
翠は指を差し込んだまま、俺に微笑みかける。
「翠が欲しいよ」
俺も、翠に微笑んだ。

数回指で出し入れした後、翠は腰のぺニバンの突起にもゴムを被せ、同じくローションを塗りたくった。

「痛かったら止めるから、言えよ?」
翠が念を押すように聞く。
俺は夢中で首を縦に振った。

俺でさくらさんの事、忘れてくれればいい。
俺の体使って...。

ちゅぷ、と先端が宛がわれる。
俺は息を止めた。

確かに俺が買ったペニバンは店にあった中で一番細くて小さいものだったけれど、それでも翠や俺の指1本の2倍以上の大きさだ。

俺は翠の顔を眺め続けた。
ぐぐぐっと中に圧迫感を感じる。

「はぁぁっっ」
自然と声が出た。
体が仰け反る。

「紅、全部入った」
翠は俺に入ったまま、動かない。
「痛いなら、止めるか?」
と俺を気遣う。

「やめないで!」
俺は即座に口に出していた。
「じゃあ、動くからな」
翠は再度菊花の入り口にローションを塗り、ゆっくりと引き抜く。
「ふあっ!!」
今度は突如虚無感を感じる。
「あぁっ......あんっ......くぅっ......うあっ」
翠はゆっくり突きを繰り返すと、だんだんと早さを増していく。

翠に突かれている。
ずっと夢見ていた瞬間。
ずっと求めていた瞬間。
俺は自ら腰を振った。

翠が動きやすいように。

翠に突かれながら、俺は自身を再び扱き始める。
いとも簡単に、俺の分身は元気を取り戻した。

そして、また俺は頂点に駆け上った。





翠が突起を俺の中から抜き去る。
「よく頑張ったな」
そう言って、母親面して俺の頭を撫でた。
ゴムとペニバンを取り去ると、ドカッと全裸で俺の隣で横になる。
「このベッド、狭いね」
俺は翠に半分腕枕される形で、抱きかかえられる。
翠の骨ばった体が温かくて、気持ちいい。
「紅んトコみてーなキングサイズベッドっつー方が珍しーんだよっ」
ふああっと言いながら欠伸をする。

俺は、一瞬躊躇って、おずおずと翠の下半身に手を伸ばした。
「っ!」
恥毛に触れると、翠が体を強張らせる。
「ここ、触ってみてもいい?」
俺は触れそうなほど至近距離で翠のグレーの瞳を伺う。

無言は肯定の印だと勝手に解釈して、俺は指を差し入れた。

「あ」

濡れてる。

嬉しさで心臓が早鐘を打ち始める。
俺を抱きながら、感じててくれてた…。

もしかして……?!

だけど、翠は俺の腕を掴んでそこから手を退ける。
「わりい。ここは……勘弁な」
俺は指に絡みついた翠の蜜をそのまま口に持って行った。
「翠の……味。甘くておいしいよ」
翠は俺を見ながら苦笑する。

「俺さ、さくらさん……諦めるわ。ってか、勝手な片思いだったから諦めるもクソもねえけど、今日のさくらさん……すっげ幸せそうだった」
「うん」
「手え繋いでた」
「そうだね」
俺は言いながら、翠の手を探して掴む。
「俺、めっちゃ悔しかったっ」
「うん。分かるよ」
俺も翠が他の男と同じ事してたら、きっと同じ風に思う。

「翠さあ、やっぱ俺じゃダメなの?女じゃなきゃダメなの?」
翠は宙に視線を漂わせる。
「それが……最近よくわかんねえんだよ」
「何で?」
「理由は……言えねえ。言ったら紅、俺の事軽蔑するだろーし。けど、1つだけいえるのは……ここずっと感じてる俺の中の葛藤は……例えば、紅見てこういう風に俺の体が女の反応示してるって事。心は……違う……と思う」
自信なさ気に語尾を濁す翠を凝視しながら、俺はぎううっと翠の手を強く掴む。
「翠、今何人の相手してるんだっけ?」
「お前も入れて、3人」
「毎週その人達と会ってんの?」
「相手によりけり。ほぼ毎週」
「ちょっとだけ、相手俺だけにしてみなよ」
え、と翠が俺を見る。
「だから、女を絶ったら?」
「それは、無理だわ……」
「何で?俺、いつでもどこでも翠の相手するよ?」
翠は頭を掻く。
「俺、ちょっと込み入った……」
「佐々木ぃぃぃぃぃぃぃぃl!!!!柔道部の井上と澤野が台所で取っ組み合いの喧嘩始めてっ…………!!!!」

いきなり、バンっと翠の部屋のドアが開いた。


「「「うわっ」」」
3人の驚き声が重なる。


ドアを開け広げた浅黒くて背の高い男は、口をあんぐり開けてベッドの上の俺らを凝視する。
言葉が出ないらしい。

「山田、俺取り込み中なんだけど」
翠が布団を引き寄せ、冷静さを取り戻した声で『山田』と呼んだ男の方に体を向き直す。

「さ、さ、さ、佐々木、それ………オト……コ?」
それ扱い。
俺は上半身を起こして
「こんにちわ」
と髪の毛を払いながら笑顔で会釈する。
「男だよ。文句有る?」
笑みを顔に貼り付けたまま、ドアの前でまだ固まってる男に声をかける。

「し、失礼しましたぁぁぁぁぁ!」
男は敬礼するとクルリと踵を返し、両手と両足を同時に振り上げながらドアを閉めるのも忘れて出て行く。

「ああクソっ」
と翠は罵って、体を起こした。
急いでそこらへんのTシャツと短パンを身につける。
「今の、よく話する山田。競泳選手で、おれの仲間」
山田って名前はよく翠から耳にする。
確かオリンピックの代表にもなったらしい。
翠があまりにもその山田の話をするから、俺はたまに不愉快な気分になる。
「ちょっくら、喧嘩止めに行ってくっから。柔道部の奴ら、前回俺らの台所滅茶苦茶にしやがったし、山田だけじゃ止められねえしっ」
そう言うなり、翠はヒョイと身軽にベッドから飛び降りドタドタと部屋から駆け出していった。


俺ははあーっと大きな溜息を吐いて、自分の服を探した。
結構いい所まで話が進んだと思ってたのにさ。

ベッドに掴まりながら立ち上がる。
今の今まで翠と繋がっていた場所が疼く。
もう一回、抱いて欲しいな。
「次回…だね、きっと」

諦めて服を着ながら、ふとベッド横のランプが置いてある小さな棚の上に目が行った。
「あれ?翠、携帯変えたんだっけ?」
いや。
さっき「アヤ」とか言う子にはいつもの携帯で話をしていた。
手に取ろうとして、その真っ赤な携帯の下にあったカードに気付く。

見覚えが有る。


スープリームホテルのスイートルームのカードキー。
部屋ナンバーも見知ったものだ。


兄貴が私情に使う為に購入した、ホテルの一室。


「なんで翠が……」


まさか、と思って携帯の着信を確認する。
息が苦しい。
ドクドクと俺の動悸が激しく鳴り始める。



着信はほぼ1週間毎。
最後の着信は、先週の金曜日の午後12時40分。



そして、発信者は俺のよく見知った番号。
見知った名前。






俺は、携帯を握り締めた。
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