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土曜の夜は♪ Ⅲ    05.20.2007
 「ちょっとちょっと~、久々の当たりだと思ったのにぃ~!!!」

そのまま朝を迎えるのはとても気が引けたので、玉蹴りプレイが終了して唐沢さんが幸せそうにイったのを確認すると、あたしはそそくさと身支度をしラブホ(と唐沢さん)からおさらばした。

眠れない朝を迎えて早速陽子に電話をかける。

「元気ない声ですぐ分かったよ。こんな時間に電話来るって事はもしかして...」
「寝ちゃいましたよ」
「あちゃ~。1度目のデートでですか?病気持ちだったらどうするの?気をつけないと」
「うーん。だって、結構テクニシャンだったんだもん」
「まじで?何が駄目だったの?」
「見た目は、結構好みだったのに」
「だったのに?」
「唐沢さん、Mでした」
「わお!何したの?何したの?プレイしたの?」
ああ、また陽子に笑われてる。
「30分位ずっと蹴ってた」
「何を?」
玉を。履いていたヒールで。唐沢さん、うなされながら気絶寸前でイったよ。すんげーこっちの後味悪い
「あはははははははは!痛そう。っつかそれ真性のマゾだ!」
「あーあ。もう絶対SMなんて嫌だ」
リビングのソファーにダイブインしたあたしは、TVのリモートを手にとって何気なくつける。
経済論系の番組。
「もう会わないの?」
「......多分。あたしのネットデートの旅はまだまだ続くよ」
はあー、と大きく溜息をつく。

あれやこれやと日本の政治経済に一言二言物申しているおっさん達の番組は、気づいたらコマーシャルに入っていた。

「あれ?」
2つ目に流されたCMに、見知った顔が画面に映る。

『銅メダリスト、山田太郎はリフレッシュマンでエネルギー摂取!』
ゴーグルをはめてプールの淵でヨーイドンの体勢のタロの顔が、どアップで映る。

オリンピックの中継や記者会見以来、この子の顔をTVで見るのは久しぶりだ。
「タロがCM出てるよ」
「大森製薬の滋養ドリンクのCMでしょ。なんか太郎君の幾つかついてるスポンサーの一つらしいよ」
「へえ。やるじゃんタロも。ってか奴の性格からすると滋養ドリンクなんて無くても1年365日天然ハイパーでしょ」
「あはは。言えてる~」

画面の中のタロがゴールしてプールの中でガッツポーズをする。
あ、これオリンピックの時の映像だ。
『リフレッーーーーーシュッ!』
最後に、あの犬のようなでっかい笑みが画面一杯に広がった。

「タロ君、ホント男らしくなったねえ」
同じCMを陽子も見ていたのか、次のCMが流れ出すと陽子が切り出した。
「タカシが言っていたけど、太郎君地元ではずっと成績学年最下位だったみたいだけど、運動はずば抜けてたらしいよ。水泳だけじゃなくて、あらゆるスポーツでもうある意味超人の域に達してたらしい。あと、ああ見えて負けず嫌いで有名だったんだって」
「へえー。タカシ君とは顔見知りなのかな、タロは」
「同じクラスになった事が何回かあったみたい。正義感強いし優しいし、太郎君意外と女子に人気だったらしいよ」
タロのおばさんが駅前デート目撃情報を自慢していたのを思い出す。
「それにしても...。ぷぷっ。“女子”だって。懐かしい、その響きー」
「先生だんしがあ~、じょしがあ~、とかよく言ってたよね。社会人になってからはトイレとか更衣室以外使わない単語だよね」
「確かにー」

あ、話しているうちになんだか心が軽くなった。

陽子と電話を切った後、あたしはTVの電源を消して、PCに向き合った。
デートサイトの自分のプロフィールに送られてきてるコメントをチェックする。


今度こそ、いい人にめぐり会えますように!

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