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 閉園になり、釣り堀センターを追い出されたあたし達は再び宇田川の車の中に居た。

隣でこっちこっちに固まって、ドキンチョーのあたしをよそに、鼻歌を歌いながら運転している。
「そんな固まってんなよ。別に今襲って食っちまおうなんて思ってねえよ」

びくっ。

宇田川が言葉を発する度に、神経が過敏に反応する。
い、市場に売られていく牛の気分……。
いや、多分誘拐された人の気分っつーか、レイプ犯と一緒の車内にいる人の緊迫した雰囲気って言うか……。
し、神経磨り減りそう。
白髪になりそう。

「いいいい今襲ったら、ぶっ飛ばすからねっ」
「あんたさあ、前にAはともかくって言ってたけど、ちゃんとまともなキスは経験あんだよな?」
「あるわよ。キスくらい!あんた除いても!」
「何人?」
「関係ないでしょ!!あーんたなんて、ドラマとか映画とかレロレロレロレロ、キレイな女優さんたちと破廉恥な接吻繰り返してるんでしょ?自慢したいの?」
「この仕事でいいのは、やっぱそれだよなー。ってか、接吻ってレトロな言い方じゃね?笑える。でも逆に言うと、俺はAやBはすっけど、俺とCまでする女は特別って事なんだけど」

う゛………。

あたし、まだ誘われてる?
「なんであたしなの?」
宇田川は前方に視線を注ぎながら、続ける。
「俺もそろそろやりてーなーとか思ってたし、あんた手頃な感じでそこら辺転がってたし、何か処女を破瓜してーみてーだし。……あ、それとも彼氏が先なのか?」
手頃な感じに転がってるって……。
あたしは小石か何かか??
それに、彼氏?
彼氏なんて出来たら……健人がどんな暴走劇を繰り広げてくれるか…。
それを思うと、少しだけ怖い。
でも、でも、健人のせいであたしに一生彼氏が出来ないのも……。

イヤだ。

なのに、なのに。
彼氏を作りたいと思う反面、健人が脳裏にチラつくあたしって……。

もう立派なブラコンなのかな???

悶々と考えていたら、赤信号でブレーキをかけた宇田川が、あたしの顎に手を添える。

え?え?え?え?って具合に……。
「〇×〇×〇×〇×!!!!!!!!!!」

いきなり、舌が口の中に進入してきた!!!!
口腔内をまさぐられてって……。

いいいいいいきなりキッスで、しかもいきなりディープなヤツ(いわゆるフレンチ)ですかぁぁぁ???

5秒ぐらいして、あたしの口は開放される。
宇田川は袖で口を拭うと、
「お。青信号」
と平然とした顔で車を発進させた。
「と、突然なんだったの、あれは!」
「なんだったて、キス。舌絡ませるとか、何か反応示せよ」
宇田川はあたしの顔の油がついたらしきサングラスのレンズを(グラサン外してからあたしにキスしろっての!)腕で擦りながら、不満そうに零す。
「あんないきなりキスされて、反応出来るか!」
あたしも腕で口紅が取れた口元を拭いながら、宇田川に反抗する。
「いきなりじゃなかったら、反応すんの?」
「するわよ!」
って、え?
これは売り言葉に買い言葉ってやつじゃあ……。

返事してから真っ青になるあたし。
心臓がドキドキしてる。
「じゃあ、続きしてみよーぜ」
「続きって……。あんたどこに向かってるの?」
「俺んちの一つ」
「俺んちの一つ?」
「カモフラージュの為にマンションの部屋2つ借りてんだよね。一つは事務所名義だけど」
「へえーそうなんだ」

って、ちがーーーーーーーうっ。

『……愛理?聞こえる?なんか、動揺してる?どうしたの?』

声が聞こえた。
嗚呼、こーんな時に健人が話しかけてくるし!!

『健人?あたし今ちょっと取り込み中。後で話しかけるから!!』
『え……?』
と言葉を送って、シャットアウト!

あたしの頭の中、混線中!!
ああもう、どーしたらいいの!!!

「あんたこれ逃したら、一生処女のままかもしんねーぜ?」
宇田川がまたニイって形のいい口の端を引き上げる。

そうだ。
確かに一生、健人とあんな行為を続けてなんて居られない。
弟とあんな行為は……間違ってる。
それに、あのまま続けていたら……お互いに溺れてしまったら、本当にあたし達は堕ちてしまう。

あたしは隣のアイドルに視線を移す。

こいつだったら……大丈夫かもしれない。

何故だか変な安心感があたしの中で生まれて……。

「いいよ。あんたの夜伽の相手、してあげよーじゃんっ」

と、気づいたらあたしは返事を返していた。





 
 宇田川のデザイナーマンションは、億ション?って位の豪華さで。
と、言うより……。
「なーんで全てガラス張りなの?」
トイレからシャワーから、全てがガラス張り。
家具はテレビ、ソファ、テーブルのみの超質素さ。
だけど、全てが丸見えの、ガラス張り。(←しつこさで、あたしのショックが計れるでしょ?)

悪趣味極まりない。

革張りのソファーに腰を下ろすと、宇田川が帽子とグラサンを投げ捨てた。

そん時、久々に宇田川の素顔を目にした。(←グラサン外したとかは別ね)
撮影の時の、日焼け風のドーランやチークのメーキャップ塗られまくりの顔とも違って、やっぱゲーノー人だけあって素顔が一番……キレイかも。
キレイ?
キレイなんて言葉こいつに使っちゃったよ。
でも、あたしの倍はありそうな長い睫と男らしい眉と顎の部分に目が行く。
帽子を取って頭をゴシゴシ掻いてる宇田川と、目が合った。
「何?やっと宇田川様の寵をお受けになる気になったってのに、気が変わったとか?」
「寵って何よ?ここは大奥かっての!」
「ここは宇田川御殿」
「趣味悪いよ、この部屋」
「あんまここには来ねえし、家具とかはどーでもいい」
言いながら、冷蔵庫の中を探し出す。
「みんな賞味期限過ぎてるわ。食いモンも飲みモンもねえし……」
しゃーない、と宇田川は独りごちてこっちを振り向く。

びくうっ!!
と過剰反応のあたし。
宇田川はあたしを横目で見ながら、頭を抑える。
「そーんな構えんなよ。やりづれー」

だって、だって、今日が処女喪失記念日になるかもしんないのにっ。
ゆとりあったら、オカシイだろ???

「じゃ、やるか?」
「やっ……」

やるか?
そーゆー風にヤルもんなの?あれは????
もっとこう、ラブラブムード全開で、あたしをお姫様抱っこしながら寝室に運んでいくとか……。(←ロマンス小説の影響)

「どーする?やる?やらない?」
宇田川が腕を組んであたしを見下ろした。クイって首でリビングの奥のドアを指す。
「寝室は、あのドア。今なら俺もあんたも、止められる」
挑発的な言葉に、あたしはゴクリと唾を飲んだ。

でも……。

もう、決めてある。
あたしの中では、決定事項。
後には、引き戻せない。

「朝倉愛理、24歳、行きます!」
あたしは思いっきりソファから立ち上がると、宇田川の腕を引いてどすどす足を踏み鳴らしながら奴の寝室まで引っ張っていった。



 まず、宇田川が服を脱いだ。
さっきまで着ていたパーカー、その下のデザイナーTシャツ、ジーンズまで脱ぎ終えると、トランクス一丁であたしの前まで来る。
真剣な顔であたしの服を、セーターからブラウスから、スカートまで脱がしていく。

お腹が冷えるあたしはバ〇ボンのパパばりの腹巻(ちなみに色は薄ピンク)をしてたんだけど、その腹巻を見ても何も突っ込まず、黙々と脱がしていく宇田川は……。

こいつも結構緊張してる、とか?

結局、ブラとパンツだけの姿になった。
裸で向き合う、あたしと宇田川。
心臓が、胸から飛び出しちゃいそうな勢いで、バクバク鳴ってる。

おずおずと、宇田川が顔を近づけて、キスしてきた。
「んっ……」
腕が伸ばされて、スポーツしてるちょこっと筋肉質な体の中に閉じ込められる。
シトラス系の、コロンのいい匂いがあたし達を包む。

車の中の時みたいに、ちょっと乱暴に舌が進入して絡んできた。
あたしも今度は、ちゃんと絡み返す。

くちゃっくちゃって粘着質な音が宇田川の寝室に響く。

自然にまわされた腕が、あたしの背中のブラのホックに触れて……ゆっくりとそこをいじられる。
パラって、ブラが下に落ちた。
「やっ」
って、咄嗟に腕で隠す。
恥ずかしい。
健人にしか見せた事のない、あたしの裸のムネ。
そんなに大きくも無いけど、小さくも無くて……。

宇田川が、顔を離して、あたしを見た。
「やべぇ。そんな顔すんなよっ」
って、らしくもなく顔を赤くして視線を逸らす。
え?
あの、照れてる?
って、
「あっ」
宇田川が、あたしをベッドの上に押し倒した。
首筋に唇が当たって、それがどんどん下に下がっていく。
「う、宇田川!」
ついに胸の先がとらわれてしまった。
あたしの上に乗っている宇田川の、あの部分が固くあたしに当たってる。
ちゅーって先っぽを吸いながら、舐めはじめる。
「んっ……あっ……」
微妙な舌使いに、不覚にも声が出ちゃうあたし。
もう片方に触れてた手があたしの肌を滑り降りて、パンツ(女らしくパンティ、と言うべき?)の中に進入してきた。
思わず、ビクンって大きく震えちゃう。

だって、健人以外の男の人がそこ近辺を触れた事なんて一度も無くって……。

宇田川の手が茂みを掻き分けて、あたしの秘密の場所に到達した。
「……ふぁ……」

もう、濡れていた。
自分でも、分かってる。
さっきの宇田川とのキスで、結構気分的に盛り上がっていた。
くちゅっくちゅって、音が聞こえてくる。
2本の指が、場所を確認するみたいに動いてまわる。

「これ、取っていい?」
普段より低めの声音の宇田川が、顔を上げてあたしを見た。
点火し始めた欲望の色が含んでいる、双眸。
きっと、あたしも同じような眼をしてるんだと思う。
小さく、頷いた。
「うん……」
と。
ふわっと、あたしのそこに風を感じた。

宇田川が、視線を静かに下のほうへ移動していく。

その瞬間。
何故だか突然フラッシュバックで、健人の顔が浮かんだ。
一瞬だけ、宇田川の顔が、健人の顔に見えた。

「超、濡れてる……」
宇田川は、生暖かい息を吹きかけて、あたしの秘密の場所に優しく触れた。
その手つきも、動きも、全然健人と違う。

健人じゃない。
このひとは、健人じゃない。

そう思ったら、ポロっと雫が目頭から零れ落ちた。

だけどそんなあたしには気づくはずも無く、ピチャピチャと潤んだ音を立てながら、宇田川があたしを舐め始める。
蜜の溢れ出す部分に舌を差し入れたり、花びらの周りを舐め取ったり…。
舌使いが、とても上手い。
「俺、あんま…我慢出来無いんすけど………って…」

再び顔を上げた宇田川が、固まった。
「……なんで泣いてんだよ、あんた……」
あたしの足の間から顔を離して体を半分起こす。
ちょっと躊躇ってから、おずおずと手を伸ばしてあたしの髪の毛を撫でた。

彼が、狼狽してる。
「やめるか?」
でも上気した、その色気有る表情と優しい手つきに、あたしは首を振る。
少しだけ、宇田川の口元が、緩んだ。
けど上下している肩で、彼の息遣いが荒くなり始めているのが見て取れる。

宇田川は、一瞬考えた素振りを見せて、そして真剣な顔になってあたしを見つめた。

「じゃあ、俺の見ても幻滅すんなよ。……てか、もう目撃済みだけどよ」
言いながら、彼は穿いていた最後の砦のトランクスを脱ぎ去った。

一度に下ろした勢いで、天を向きながらも小さく揺れている。
前に目にした宇田川の分身が、あの時より大きく欲望を露にしていた。
その先端は濡れそぼっていて、準備は整っているみたい。

あたしは、溢れ出ていた涙を拭って、上体を起こす。
そして、手を伸ばして宇田川に触れた。
「……うっ……」
宇田川が、声を漏らす。
温かい。
健人のものとは、形も大きさも全然違うけど。
上のぬめった部分に指を這わせる。
糸を引く透明な液体が、あたしの指に絡んでいく。
更に触ろうとするあたしの手を、宇田川はさえぎった。
「駄目だ。今、それ以上されたら俺、イッちまう。それは……後でな」

宇田川はちょっと切羽詰った表情をして、あたしを再び押し倒した。
あたしの首筋に顔を埋めながら、彼の荒い息遣いを感じる。

「……いいか?」
宇田川はそして、蜜の潤んだ入り口に、ちゅぷっと熱い塊をあてがった。

「イタッ……」
ぐっと圧迫感。
「狭いな……悪い、我慢しろ……」
小さく宇田川が耳元で囁く。

それでも、痛みは伴って……。


あたしの視界がまたぼやけだした。
ポロポロと頬を伝うものを感じながら…………。







最後に思い浮かんだのは、やっぱり健人の顔だった。



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