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 健人はいつもの事ながら、イライラしてるみたい。
お兄さん、生理前ですか?PMS?ってくらい。

沖縄出張を終えて、空港から真っ先に帰宅したあたしを健人が、ひとり南極ブリザード起こしそうなおっかない顔で待ち構えていた。

わざわざ玄関で、お出迎え。
やばっ…この雰囲気。
HPとMPのダメージでっかく喰らいそうだわ。

『た、ただいまぁ』
『………』
はっ、返事無しですか。
『ち、ちんすこうと黒砂糖飴買ってきたよ。ドライフルーツもっ』

さあてと。
さっさとこっからトンズラ致しましょうか?
ブリザード攻撃浴びてこっちこちに固まってしまう前に。
薬草が必要な位、ダメージ食らう前に。

リビングのテーブルにお土産を置いたあたしは、そろそろと抜き足差し足でそのまま2階の自室へ戻ろうとする。
『ちょっと、こっち向いてよ』
なのに、ぐわしぃぃぃっっ、と腕を掴まれた。
『やっぱ、濃くなってる……』
あたしを見て、独り言を言う健人。←実際には、言ってないけど
じーっとその一点を見つめながら、彼のキレイな顔が北斗の〇みたいにだんだんと影濃くなっていって………。
その上、サイズもラ〇ウみたいにでかくなっていってるように見えるのは、あたしの錯覚??
あたしが小さくなってってるの?

健人は、巧みに心の声とあたしに聞こえる声とを使い分けているのか、あたしに余計な言葉を打ち明けてくれない。
『お茶を、飲もうか。姉さん』
突然笑顔を見せて、あたしの腕を引っ張ってキッチンに連れて行った。
姉さん、という言葉を使うとき、健人のお説教やお小言が始まる。
……いや、それ以上の、あたしが恐れている事も。

健人に引きずられながら、思った。

少し女性的な美貌も、頭の回転の速さも、腹黒さも。

門田さんは、健人に似ていた。
顔はぜんぜん違うタイプなのに、その雰囲気が、よく似ていた。

門田さんにどんな無理難題つきつけられても、嫌味っぽい言葉を浴びせかけられても、根は優しい人だって気付いていた。

話しかけられたり、一緒にいると、ドキドキした。


なのに、襲われた時、物凄く嫌だった。

酔っ払っていたから?
うん。
多分、そう。

だって今日、ひとり悶々とキンチョーしてたあたしを差し置いて、門田さんは昨日の夜の事ぜんぜん覚えてなかったみたいで、一日中まったく普通だったし。


『何が起きたの?』
お湯を沸かし始めた健人は、あたしに訊ねた。
後姿の背中に「怒」って文字背負ってるよ。

『何って……別に何もないよ』
『昨日の夜、助けてって叫んだでしょ?』

うっ。
忘れてたけど、そういえば健人の声が聞こえた。
……ような気がした。

『……叫んだっけ?』
健人はあたしをじーーーーーっと見つめる。
尋問されてる容疑者の気分だわ。
自白を強要されてるっ。
『言わないと、怒るよ』
もう、怒ってるじゃーーーーん。
『まだ、怒ってない』
……聞かれてるし。
『別に、何にも起きてないよ。ホテルの部屋で滑っただけ』
『それ、嘘でしょ』

沈黙の中、睨み合ってるあたしと健人(実際には、頭の中で会話中)。
二人の間で無言の心理戦が繰り広げられてる。


あたしは、4年前に初めて出来た彼氏との事を思い出した。
あの時も、確かこんな状況だった……と、思う。


20年という長いながーーーい年月を経て、あたしにも「彼氏vv」たる存在が初めて出来た。
テニスサークルを通して知り合った、他大学の先輩。
人生で初めて、あたしは告白たるものをした。
下駄箱にラブレターでも、放課後の教室でも、体育館裏でもなかったけど。
テニスコートの前で、「ずっと好きでした。付き合ってください」って告白した。
驚いた事に(告白した本人が一番驚いたさっ)、即OKだった。

んで、付き合い始めて1週間。
初めて、接吻(古風?)たるものを経験した。←遅咲きなんて言わないでね

初めて先輩とキスしたあの日も、確かこんな風に尋問された。
先輩の事を色々聞きだされて、どこに行っただとか、何をしただとか、ごちゃごちゃ質問攻めにあった。

それから1週間後、爽やかだったあたしの彼はノイローゼ且つ鬱病になってしまった。
そりゃあ、そうだろう。
彼に突然、災難がふってかかったから。

パソコンは新型のウイルスに犯されて破壊するわ、新車も原因不明で故障するわ、彼のみならず彼の家族のパソコン全てぶっ壊れるわ、どうしてか個人情報が流出したらしくてクレジットカードは世界各国で使用されてるわ、しまいには大学の履修歴から在学記録まで抹消されていて……。

そんな事が繰り返し繰り返し、チクチクと起きて、爽やかだった彼は情緒不安定のノイローゼになってしまった。

あたしはそれが健人の仕業だって、後で気付いた。
だってそんな事出来る男は、世界で1人しか知らないから。
人のコンピューター(大学も含)ハッキングして、色々と操作とか出来るのは健人位しから知らない。



『上司が酔っ払っちゃってて、大変だったの』
『上司?門田紅って人?』
『そ。門田さんがえらーく酔っ払っちゃってて』
『ふうん』

健人には言ってない。
あたしの上司が「紅(べに)」なんて名前なのに、男だって事を。
言ったらもの凄~~く心配するだろうし。
いや、それ以上に健人が異様な行動に出るとも限らない。

『ねえ、愛理俺が知らないと思ってるみたいだけど、門田紅って男だよね?』
う゛う゛っ。
もう早速バレてるし。
今の心の声は聞こえなかったはずなのに!
『バレるも何も、そんな事愛理が配属された時から知ってるよ。あの人、汚職事件で捕まった有名な政治家の息子だから、ネットで調べれば簡単だし』
人の言葉を読むなぁぁぁぁぁ!!!

『彼に何かされたんだ?』
『ち、違う!』
『じゃあ何で俺がつけたキスマーク濃くなってんの?』
『キスマークが濃くなってなんてっ………って』

ええ?
えええええええええ?
ええええええええええええええええ?

「ききききキスマークつけたの、あんただったの!!!」
思わず、声に出してしまった。
『虫刺されだと思ってた?』
『思ってた。………ってちがーーーーーーーうっ!!ああああああんた何て事してんの!!』
『何て事って、虫除け』
『虫除け?!へへへへへへ変態!じゃあじゃあじゃあじゃあ、もしかして、あの、むむむむむ……っっ」
『胸のも、そうだよ』

悪びれも無く、ケロリとしてる。

『いつ?どこでつけたの?!?!』
『沖縄に行く日の前日。愛理がぐっすり寝てる時』
『もしかして、あんた時計のアラームも操作した?』
『ああ、切っといた。寝坊して飛行機乗り遅れたら、沖縄行かなくても済むし』
『済むしじゃなーーーーいっ!クビになっちゃうでしょ?………いつも思うけど、あんた、おかしいよ!なんでそんな事する必要あんの??なんでそんなシスコンなの?ちょっとアタマ変なんじゃないのっ!』

あたしは今更ながら着ていたブラウスの上のニットカーディガンの袂を手繰り寄せて身を硬くする。
そんなあたしを見て、怒りの炎メラメラだった健人がちょっぴり寂しそうな顔をした。
ブリーチとか一切してない、黒い髪の毛をかき上げる。

『そっくりその言葉を愛理に返すよ。変も何も、俺達の関係からして普通じゃないでしょ?何で愛理俺の声が聞けるの?何で俺は愛理と会話できるの?愛理、俺の気持ちにずーーーーっと気付いてる癖に、なんで知らないフリしてるの?』
『知らないフリって……健人、デートとかよく出かけてるじゃんっ。彼女だって何人も居たでしょ?』
それに、最近は………もう何ヶ月もああいう事だってしてないし。

『俺が1ヶ月以上女の子と付き合ってた事ってある?ないよね?』
『し、知らないわよ!あんたがいつ、どんだけ女の子と付き合ってたかなんて!それに……
門田さんに何かしたら、弟だからって許さないよ!』
『門田紅には、何もしないよ。………愛理が言う事聞いてくれたら』
健人はそこでお湯の火を止めた。
お茶の葉を棚から取り出し、急須に入れてお湯を注ぐと、振り向いた。

とびっきりの笑顔だ。

お、悪寒が……。

『久々に、あれやろうか?』

出たぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

『ねえ、良い事教えてあげる』
言いながら、健人はお茶を湯飲みに注ぎ、それを持ちながらあたしの座っている食卓まで歩み寄った。

ううううっ。
泣きたい。

『愛理って、何かあるとすぐ考えが外に出ちゃうんだよ。愛理の考えてる事丸聞こえで、その場の状況が俺にも飲み込めちゃうんだ』

ウソ!

じゃあ、じゃあ……。

『前の彼氏……名前なんだったか忘れたわ。名前なんてどーでもいいけど。あいつの事好きだった時も、告白した時も、キスした時も、全て情報垂れ流し状態だったんだよ。小学校6年の初恋の相手の時も、中学2年の同級生の事も……もちろん、愛理が今、門田紅の事好きってのも知ってるし、昨夜何が起きたのかも知ってる』
健人があたしの前で腕組んで立ってる。
手には、美濃焼きの湯のみが握られてる。
『愛理だって、たまに俺の考えてる事とか……聞こえるでしょ?』
『……うん』

たまにじゃなくって、結構聞こえる。
まるでラジオを聴いているみたいに。

ただ、健人は頭がいいから、あたしには難しい事がいっぱいすぎて、いつも無視してた。


一回だけ。
あたしが中学3年で、健人が2年の夏休みの時。

昼寝をしていたあたしの耳に、
『愛理!』
って健人の叫び声のような、すすり泣きのような声を聞いた事があった。
『愛理、愛理、愛理!』
って、切なそうにあたしの名前を呼んでいた。

咄嗟に何かあったのかと思って、隣の健人の部屋まで駆けつけた。


その時、気がついた。

弟が。
あたしの血の繋がった弟が。
あたしを、欲望の対象として、見ていたという事実を。


ベッドの上の健人は突然部屋に乱入したあたしに気づいても、驚かなかった。
冷静な彼とは正反対で、あまりの驚きように口が利けなかった上、腰が抜けてその場に崩れ落ちたあたしに、健人は上気して赤くなった、しどけない色っぽい顔つきのまま、
『続き、見ていきなよ』
って、言葉をあたしに送ってきた。

健人のアレは産まれた時から何度も何度も見た事あったけど、あんな風に変化をした所は人生初めて目にして………。

その色と大きさに……釘付けになってしまった。

『なっ……何してるのよ!』
『何って、自慰行為。人間の欲求の一つで、自然現象。愛理は俺以外の男の生殖器見た事無いの?』
『なななななな無いわよっ……そんな、そんな……』
『勃起してる状態?この……透明な汁は……男の分泌液で……』
『せ、説明なんかしないでよっ!いいいいいやらしい!』
『興味ある癖に』
『興味なんて無い!無いもん!』

ベッドの上の健人が、膝まで下げていた制服のズボンを脱いだ。
ついでに白いシャツも脱ぎ捨てる。
そして何を考えたのか、全裸のままドアの前に座り込んでいるあたしの前までやって来た。

『触ってごらんよ』
『さっ………』
真っ赤になるあたし。
健人は意味ありげな笑みを浮かべて、あたしを見下ろす。

本当は、思春期の女の子として、とーーーーーっても興味があった。
それに、とても健人のものとは思えない、生き物のようなその物体がどんなものかも、興味があった。

けど、ハッキリ言って恐ろしかった。
まるで健人が健人じゃないようで……。

なんて悶々と考えていたら、健人があたしの手を取った。
そのまま、赤黒く熱っている物体に導く。

「あ……」

すごっ。
太くて、滑らかで、熱くて……。
生々しい。

ちょっとだけ上下にさすってみたら、ビクッて健人が体を動かした。
『気持ちいいの?』
『………うん。でも、こうしてみて…』
健人はそこに添えられているあたしの手を取り、指で輪を作る。
上に重ねられた健人の手が、根元の方から歪な形になっている上の方まで上下させる。

はあっ、って健人が息を飲んだ。
切なそうに、目が細まる。

健人の手が離れても、あたしは上下に擦り続けた。
上の柔らかそうな部分の穴から、さっき健人が言っていた「分泌液」とやらが溢れ出してる。

3~4回上下させたら、あたしの手の中のモノがピクッてなった。
『あっ……!』
珍しく、健人が慌てた声を出す。
同時に、彼の口から吐息が漏れる。

そして、人生で初めて。
あたしは、男の人の射精の瞬間を目にしてしまった。

物凄い速さで、ピュッピュって噴き出したそれが、まだ健人を握っているあたしの手や腕にかかる。

驚いて健人を見上げると、さっき以上に切なげな真っ赤な顔して、あたしを見つめていた。



長い間、あの黒目がちの瞳と健人のあの表情が、頭から離れなかった。





んで、今はというと。
健人はお茶の入った湯飲みを食卓の上に置くと、履いていたジーパンのベルトを解き始めた。

嗚呼、じーざすくらいすと!

もう何ヶ月も無かったから、安心してたのに……。
色んな女の子とデートしてたから、もう姉とのこういう行為は飽きたのかと思ってた。

初めて姉弟でこういう事をした、あの中学の頃は、背丈もそんなに変わらなかった。

なのに、今は。

弟ながら、背が高く細身の引き締まった体を見あげる。
女の子に、不自由してないはずなのに。

なんでまだ、あたしなの?


あああああもうっ。
薬草どころか、生き返るために聖水必要かもっ。
生還用に白魔術…ケアルガあたり唱える必要性有りかもっ。

あれこれ考えてるあたしの頭の中に、

健人の、
『愛理、お願い……』
って哀願が、届いた。



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