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 「これ」
ポーンっと喫茶店のテーブルに放り出されたのは、クリアホルダー。
そこから見える、部屋の間取り図(らしきもの数枚)とクリップされた名刺。
「あんた、アパート探してんだろ?」
その後、どかっと椅子の上に腰を下ろした宇田川があたしに顎で見てみろって示した。
「え、そんな事宇田川に言ったっけ?ってか……三茶(三〇茶屋)のアパートしかないじゃん…」
「そ。俺様の家の近所にしておいた」
「あんたの家?って、あのスケスケえっちい、悪趣味なガラス張りの…?」
「ちげーよ、もう1つの方。家が近けりゃ、もっとあんたと遊べるし」
宇田川がウェイトレスに飲み物を頼んで、じぃぃぃぃーーっとあたしを見つめる。

うげっ。
「あ、あんま見ないでよ!」
て、照れるじゃんか!

「あんた、鼻毛1本出てる」
「は?」
「右側。鏡で見て見ろよ。っつか、抜いてやろーか?」
「けっこーーーーーーっすっ!!」
慌ててバックの中から手鏡を取ろうとすると、
「嘘だよーーーーん」
って、ゲラゲラと宇田川が噴出した。

ぶぶぶぶ、ぶっ殺す。
一瞬マジで焦っちゃったじゃないの!

「もう、用事がそんだけなら、あたし帰るから!お昼休憩短いし、仕事戻んないと」
「短気は損気ですわよ、お姉さん♪」
「女言葉使うな!気持ち悪いなあ」
ずずずずーーーーって、頼んだジュースを飲み干して立ち上がろうとすると、宇田川がまるで計算してたみたいに、「あのさー」と切り出す。
グラサンで表情は見えないけど、テーブルに両腕置いて下向いてる。
「明後日の土曜日、ヒマ?」
「忙しい。もう、宇田川とは…」
「宇田川じゃなくて、光洋って、呼んでみ?」
「は?光洋?」
「疑問系でハテナマークつけないで、普通に」
「普通って…光洋。それが、どーしたの?」
「何でもねえよ。愛、理」
「………」
………。
は?
なんなんだ?
愛理って所が、やけに棒読みってゆーか、力入ってるってゆーか。

宇田川、下向いてるし。
ってか、口元ニヤけてるし。

「いや。やっぱ下の名前で呼び合わないと、って思ってたんだよね、俺」
「下の名前?」
「何でもねえ。それより何?俺、何かした?何で俺を避けてんの?」
「別に避けてるっていうか、言ったでしょ?ブラジル移住はイヤだって」
「つーかコレが、俺だし。俺の職業は特殊だし、まあそれについてあんたに異議や文句あったとしても、俺はなんにも言えねーけど。それでも、人生って酷だよなーっ。俺、久々にマジで好きになった女に、冷たくされてるしぃぃぃ」

や。
だけど…って、そんな事言われても困るよ。

あたしが明らかに困惑顔だったのか、いきなり宇田川が笑い出す。
「っつか、ぶっさいくな顔して考えてんなよ!あのさあ、俺さぁ、マジで考えてたんだけど……」

しーーーん。

み、妙な間をあけてから、宇田川が続ける。
なんなんだ、この緊張感を煽る間は!

「あんたら兄弟って、やっぱそういう事してんの?」
「そっ……ししししししてない!……てか…」
「てか?」
両手を顎について、じぃぃぃぃ~~って見られてるんですけど。

1つ溜息をついて、あたしは席に座りなおした。
「あのね。あたしと健人って、普通の姉弟とちょっと違って…喋らなくても意思疎通が出来るっていうか…」
テレパシーで伝達しあってます!
なーんて宇宙人みたいな事言えないっつの!!
「言葉に出さなくても、分かっちゃって…」
「ってか、愛理のリアクションが単純で解りやすいだけじゃねえの?」
「し、失礼ね!そうかもしんないけど、でも、そうじゃないの!あたしが健人の声になってあげてる時とかもあって…だから、多分、あの子あたしに依存してるんじゃないかなーって…」
「でもアレは、姉に依存してるって眼じゃなかったと思うけどなぁ」

いや。
してない。
はっきり言うと、あたしの方が依存してるかも(色々直してもらったり、勉強教えてもらったりだとか…)

ゴホンって一応、咳払い。
「とにかく、健人は血の繋がった弟だからっ」
そう。
それ以上は無しにしなきゃ。
たとえ健人に…それ以上の想い抱いてても……。
って、抱いてないよ!(←1人突っ込み)
無いよね???????
無いさっ!!あははははっ。

「何、眉間に皺寄せてんの?弟の話はまたとして、とりあえずじゃあ、土曜な。後でメールすっから、俺様に時間が有ったら家探し付き合ってやる」
「俺様って、何様ですかあんたは!付き合ってやるじゃなくって、付き合いたいの間違いだろ!」
ボフッってバックで宇田川の顔面ストライクさせると、あたしは「じゃあね!」と言ってカフェを後にした。
「またな、愛理」
って聞こえたけど。
何でか、宇田川の顔が見れなかった。
宇田川があたしの事「あんた」から「愛理」に変えてたのも気づいてたけど、しかとした。




「あの、お姉さん!」
残業も無く定時に仕事を終えて銀座のBREEZEのビルから出ると、可愛らしい声が後ろからかかった。
「悦…子ちゃん?」
ふんわりと可愛く髪の毛を巻いて、巨乳なのに(う”ら”や”ま”じー)スラリとした悦子ちゃんが、小走りにこちらに走ってきた。
「あれ?どーしたの?」
てか、何で悦子ちゃんがうちの会社のビルの前に居るの?
キョトンとしてると、悦子ちゃんは女の子らしくあたしに一礼する。
「あの、待ってたんです」
「え?あたし、を?」
「はい」
悦子ちゃんがあたしを待つって事は…もしかして、もしかすると?
「あの、健人君の事で……」
やっぱし、ね。
「お姉さんの番号とか知らなかったし、家で待ってると健人君に会っちゃうし、こうするしかなくって…。お時間はあまり取りません。でも8丁目近くにマイタイが美味しいバーが有るんで、少しだけお付き合いしていただけますか?」

最近、なーんか待ち伏せとかされやすいよね、あたし。

なーんて考えながら、笑顔で「いいよ」と返して、悦子ちゃんお勧めのバーに一緒に向かった。

悦子ちゃんは、確か健人とT大の手話研究サークルか何かで知り合ったハズ。
T大って事は、結構な才女だよね?
それに、ご両親が聾唖で、物心付いてた時からずっと手話で通訳してた、って聞いてた。
目の前の、可愛らしい女の子をジロジロ観察しちゃう。
ふわっふわに巻かれた茶色い髪の毛に、黒目がちの大きな目。
つやっつやのリップが塗られた、ちょっと気の強そうな口元。
陶磁器ですか?みたいな白い肌。
おっきい胸に、両手で輪っか作ったら入っちゃいそうな(←大げさ)ほっそいウエスト。

あたしなんて…。
会社上がりで化粧溶けまくって、やばい状態なのになー。
美白も何も、「南方出身ですか?」ってよく言われるこの肌の色。
父親譲りの、アイプチでやっと二重になります状態の、重たい(モンゴロイドの)目。
胸は普通なのに、くびれもクソも無い、ドラム缶と呼ばれてる(by健人)このずん胴な体!

うらやましーなー。
ってか、健人とは…美男美女で、お似合いだ。

とか、考えてたら、悦子ちゃんが切り出した。
「あの、健人君…最近あんまり連絡してくれなくて……。仕事が忙しいのとか、知ってたんですけど、サークルにも顔出してくれないし、学校の授業もあんまり出てないから、心配で…」
ちゃーんとネイルアートが施されてる細い指で、マイタイのストローをかき回してる悦子ちゃんは、溜息混じりだ。
「健人、学校も行ってないの?」
「趣味でやってるゲームのプログラミングのプロジェクトは一週間位前に上がったはずなんですけど、連絡が一切来なくて。お姉さん、何かご存知ですか?」
ゲームのプログラミング?
そんな事してたんだ、健人は。
いや、何かプログラミングしてるとは聞いてたけど。
「さあ…?あたし、健人が仕事で何してるのかすら、知らないから…」
「健人君、それ以外にもデイトレーディングとか、色々してますけど…この間、たまたま彼が趣味で作ったゲームが高値で買い取られて、大手ゲーム会社から引き抜きの話も出てるんですよ。ご存知無かったんですか?」
ご存知無かったっす。
「そうなんだー。ごめんね。ずえっんずえっん知らない。あたしあんまり悦子ちゃんの役に立てそうにないかも」
「あのっ、私の完全な片想いっていうのは、知ってるんです。でも、彼に初めて会ったとき、あ、運命の人だ!って、思ったんです。もう、直感っていうか…」

運命の人?
そんな風に感じる事って…有るの?

「え?じゃあ、健人とは付き合ってないの?」
って、健人はこの間ビックリドーテー宣言してたよね?
あたし以外に、ナニが機能しないとか何とか……。

「付き合いたいんです!」
悦子ちゃんは、両手の拳を握って、口を引き結んで、あたしに強い視線を送ってきた。

う………。

あたしは耐え切れなくて、自分のマイタイのお飾りの小さな傘を閉じたり開けたりしていじった。

いやね。
切ない女心もわからない事も無いんだけど…。
あたしも、立場が微妙と言いますか…。
ぶっちゃけ、昨日弟からマジ告白されまして……。

なーーーんて、言えなひ!!!!
ずぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーったい、言えなひ!

「だからお姉さん、お手伝いして頂けませんか?」
うわあ、お手伝いキターーーーーーーーー!!!
「えええ?!お、お手伝い?って…何を……?」
「何でも良いんです!ダブルデートでも、何でも良いんです!健人君と一緒になれるきっかけを作るお手伝いをしていただけたらって思ってて…」
濃い睫に縁取られた黒目が、ウルウルしてるよ。
「ダブルデート?」
「はい。あの…私と健人君と、お姉さんと……お姉さんの彼氏、とか?」
居ないっつの!
「いや。今、恋人募集中、かな~~?」
「え?そうなんですか?じゃあ、お友達とかはどうですか?あ、この間カフェで会った人とかは?」
「はいぃぃ?宇田川?宇田川は、駄目だよ!」
「そっか…スミマセン。そうですよね。あの方、確か芸能人ですよね」
あ、やっぱ気付いてたんだ。
「うん。宇田川は駄目…だけど。う~ん、何か、考えてみるよ」
「え?じゃあ、メル番交換しませんか?」
「あ、え、ああ、うん。それ位ならオッケーだよ」
ってか、マジNOと言えない日本人のあたし。
何で番号交換してんの?

機嫌を直した悦子ちゃんは、ルンルンであたしと新橋の駅まで向かった。





 お母さんは京都にお友達と遊びに行ってるし、お父さんは大阪支店に出張中。
って、連絡が今朝来た。
家の中には誰も居ないハズなのに、帰ったら電気がついていた。

げ。
まさか……噂をすれば何とやら?
健人?
健人が戻ってきてる!!!

思わず、玄関の前で立ち止まって考え込む。
ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~っ。
どうしよっ???
今からビジネスホテルに泊る?

てか、なんで焦ってんのあたし?
そんな、逃げなくても…ココは自分の家だしさ。
世界で一番リラーックス出来る憩いの場…のハズが。
なんでゲリラ戦挑んでるみたいな緊張感を感じてるのさ、あたし?
ねえ?

いや、でも…。
弟からあんな告白されて、きまづいっていうか…。

「すーーーーっはーーーーーーっすーーーーーーっはーーーーっ」
思わず、深呼吸。

朝倉愛理、早速女としての度胸、試されてるよ。
やっぱ、ここいら辺は大人の女の貫禄ってのを示さないとねっ。

ガチャ。
「た、たっだいまー」

1歩、2歩…。
玄関から、居間までの距離が……こんなに短かかったっけ?

よっしゃ、さりげなーーーーく、さりげなーーーーくっ。
「あれ、家帰ってくてたんら」
うわっ。
すんげーぎこちない!
しかも「くてたんら」って、何?
思いっきり、噛んでるし。
その上笑顔、引きつってるの自分で分かるし。

分厚い参考書みたいな数字が羅列してある本から顔を上げて、リビング(居間ね)のソファーに腰掛けてる健人が顔を上げる。
ちょっと顔をしかめて、手を上げる。
“愛理、手と足が両方前に出てる。何、そのロボットみたいな歩き方”

って、あれ?
なんか雰囲気違う。
全体的に、何かが違う。
って、あ!
髪の色が…明るくなってる。
真っ黒だった髪が、茶色くなっていた。

な、なんか似合ってる。
垢抜けたっていうか、色気に拍車がかかったというか…。

それにしても態度…フツーじゃない?
よ、良かったぁ~~~~。
“な、なーーーんだっ。健人元気そうじゃーーーーんっ。髪の毛も洒落っ気出しちゃって、この色男~~~”
あははははっ、と笑いながら、バックを健人の横に放り投げて、隣の台所の冷蔵庫からビールを取り出す。

健人も飲むかどうか聞こうと思って顔を上げると、目が合った。

“元気じゃないよ、痛い”
そう手話で返した後、何気なく頬づえをつく。
「あ……」
もしかして、昨日思いっきり平手お見舞いした、ほっぺた?

“昨日は……ごめん。ほっぺあの後…ちゃんと冷やした?”
キンキンに冷えた缶ビールを一本健人に手渡してから、手話で訊ねる。
そのままビールをテーブルに置くと、
“頬よりも、ココが痛い”
って、胸示されながら真剣な顔で返された。

う"………。

何、この罪悪感。
ってか、ききききき緊張すんじゃないの!
「さっ、晩御飯どーしよっかなぁ~~~♪」
ど、ドキドキしてる。
よりにもよって、胸が痛いって、何じゃあああ!!!!

クルリと踵を返して、キッチンに向かうあたし。

こーゆーのは、軽くスルーで……。

「って、何見てんのおおおおお!!!!!!!!!!」

再び居間方面へ顔を向けたあたしの目に、携帯(あたしの!)をまじまじ見てる健人が映った。
「勝手に人のカバンの中漁らないでよ!!!」

「魔性の女」
小さく口パクでそう囁きながら(てか、あたしにはそう動いているように見えた!)、健人は今さっき届いたばっからしき宇田川からのメールを開いて、あたしに見せる。
“バイブ鳴ってたよ。愛理、デートに行くんだ?今度の土曜”
パタン、と携帯をテーブルに置いて、そのまま立ち上がる。

顔が、顔が……。
こ、こえええええぇぇぇぇぇぇぇ。

“俺も、行っていい?……姉さん?”
笑顔(なのに、怖い!)で健人が訊ねてくる。
「は、はあ?こ、困るから!」
“俺、言ったよね?邪魔するから、って”
“デートっていうか、宇田川あたしのアパート探しに付き合ってくれるだけだよ!”
“なら、尚更俺が一緒に行ったって、構わないよね?”

気づいたら、健人がジリジリと詰め寄ってきていた。
それなのに、ドキドキと心拍数が上がってて…。

お、おかしいぞ!!あたしの心臓!!!

だけど健人はあたしを素通りして、棚からコップを取り出す。
そしてまたスタスタとソファーに戻って腰を下ろす。
“もうメール返しちゃったけど。宇田川って人に”
分厚い本のページを捲りながら、健人が悪びれも無く手をあげてサインした。
「はあああああああああ?????!!!!いつ、いつの間に!」
“いつの間に、って今”
す、すんげー早業で打ってたのね。
目に見えなかったよ!
って、そうじゃなくって!

”勝手な事しないでよっ”
テーブルの上の携帯を慌てて掴んで、開いてみる。

宇田川からの
>土曜日三茶の駅前朝10時に全員集合!風呂入ったか?
って(阿呆)メールに
>ごめんね。ちょっと用があって、弟がついて来るって言ってるんだけど、全員集合なら、いいよね?
って返事勝手に返してるし!
愛理さん、呆れてモノが言えないよ。
でも、まあ、宇田川もきっと「NO」って言うだろうし。
今日だって、健人の事話してる時、ちょっと不快そうだったしね。

プンプンしながら健人を見ると、無関心そうな顔のまま頬杖ついた態勢で、テレビを観てる。
茶髪が案外…というか、かな~り似合ってる。
これで黒いスーツとか着ちゃったら、ホストになれるよ。
前よりも心なし目を引くっていうか、つい目が行っちゃう。
我が弟ながら、「見た目だけ(あと、頭も)」良くてムカつく!

“髪、どーいう風の吹き回しなの?今まで染めた事なかったのに”
健人はちら、っとあたしを見てテレビに視線を戻しながら
“今日テキトーに美容院入ったら、勝手にやられた。カットモデルとやら何やらで、結局タダにしてもらったし、気分転換”
とやる気のない返事を返す。

気分転換。
それって、何か昨日の事と関係あったりする…とか?
あたし、考えすぎ?

じーっと整った横顔を見下ろしていると、ふと悦子ちゃんの顔が脳裏をよぎった。
「今日、悦子ちゃんに会った」
あたしはわざと声に出す。
健人は腕を組んで、首を傾げながらあたしを振り返った。
さ、先を言えって事よね?
“今日、会社の前で。んで、ちょっとお話しながら帰ってきた”
“へえ。何を?…って、まあどうせ俺の事だとは思うけど”
“悦子ちゃん、健人の事心配してたよ”
健人は特に表情を変えることなく、あたしを見つめ続ける。
“健人が連絡しないから、あたしに相談してきたみたい”
“どうせ、俺との仲を取り持つように頼まれたんだろうけど。ああ、それかダブルデートしたいだとか言われたとか?”

す。
すげえ推察力。

って、感心してる場合じゃない!
口をあんぐり開けたままのあたしを見て、健人は首を振る。
“それで、断りきれなかった”
“こ、断りきれなかったわけじゃないわよ!”
“じゃあ、断ったんだ?”
“断って、無いけど……。ちょっとは連絡してあげなよ”
“する必要ない。興味が失せた……というより、元からどうでも良かったし”

「良くないよ!彼女の気持ちはどうなんの!?」
あたしは、思わず声を上げた。

健人がすっと立ち上がって、あたしに向き直る。
あ、やば…。
墓穴掘っちゃった?

健人は、じりじりと詰め寄る。

お、思わず後退しちゃうあたし。

いや、あの、ちこ~~~~っと、距離が近いんじゃないかなあ……。

ってか。
ああああああああ、あの顔してるよ。

そして、あたしの後ろは、カップボード。
嗚呼、後が無ひ~~!!

“じゃあ、俺の気持ちはどうなの?”

健人が、あたしの肩に手を置いた。



ううっ……どうする、あたし!






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