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未年の朝 9    07.31.2007
何となく、理解できた。
育った環境の周りは男ばっかだし、思春期とも言えるこの時期の若者としてあり余る性的欲求の捌け口の対象も、女が居なければ男となってしまうだろうという事実は。

だがしかーし。
それとこれとは別問題。
なんであたしなわけ?


「お前も用意をしろよ。」
あたしが独り言を呟いている間も政輝は、侍従の者に着ていた羽織やら足袋やらを脱がせさせていた。
真っ白な襦袢姿になると、政輝はあたしの腕を掴みそのまま部屋の奥の襖戸を開けて隣の部屋へとあたしを誘った。

そこは部屋中金箔が張り巡らせられていて、金色に光る部屋だった。
豪奢な布団が中央に敷いてある。
「うわっ…。」
金閣寺じゃあるまいし、何このギラギラした(悪趣味な)部屋は!!!!
っつーかそれよりも!!

どうやったらこのシチュエーションから逃れられるの???
このまま男の振りをしてさっさと乗り切る?
いや、それはどう考えても無理くさい。
なら、素直にあたしが女だって白状したらどうなるだろ?
また…切腹とか言われそう…。

「何怖い顔してるんだよ?」
政輝はちゃっかり布団の中に入っていた。
「お前、緊張してるのか?」
してるよ!!
「ほ、ほんとに君を喜ばす事が出来たら僕はご主人様の所に戻っていいんだね?」
っつーか、君の子守なんてしたくないのだよ、政輝くん。

「へえ、自信あるんだ。」
フウン、と方眉を上げて政輝は呟く。
どんなに偉そうでも、ただのクソガキ。
あたしにはまだ触れてこないし、自分はさっさと布団の中に入っちゃってるし。
こういう僕ちゃん男って、あたしの予想ではきっと従者に奉仕させたりして、自分から相手には奉仕しないんじゃないかな?

なんていうあたしも、そんな経験ないけどさ…。
だあっ、もう、どうにでもなれ!!!!!
「失礼します。」
と言ってあたしは、布団の上掛けを捲し上げた。
そのまま、布団の脇から仰向けの政輝にキスする。
一瞬、一馬の顔が頭に浮かんだ。

ゴメン、一馬…。

って何であたし一馬に謝ってるんだろ?
別に一馬とどうこうって関係じゃないじゃん。
そう、別に言い訳じゃない。
このクソガキにお姉さんが礼儀ってもんを教えてあげてるだけなんだから!!
ああ、でもやっぱし言い訳にしか聞こえない…。

それより、主導権握るのってあたしの人生初めて…。
いくら最近欲求不満だからって、やっぱこんな年下じゃあちょっと興味が沸かないんだよね。
顔は、まあ上の上の上だし、あと10年位したらいい男になるかもしれないけど……。
なんて、あぁぁぁぁ~~~もう!!!
ゴチャゴチャ思ってても始まらない!!
もうなるようになるさ!!!

「ん……。」
あたしは、キスを繰り返しながら政輝の白い襦袢の合わせに手を滑り込ます。
まだ筋肉の発達していない少年の形跡を残した体は、敏感な所を撫でられる度にピクリ、と反応した。
「お前、さっきと違って自信満々じゃないか…。あっ!」
襦袢の帯を解いて露になった白い肌の平らな胸の上を舐めながら、
絹で出来た褌の上を手で触ってあげた。
そんなに大きくは無い少年の、自己主張を始めているその部分
を布の上から優しく上下に擦ってあげる。

「……っぁ…。」
色っぽい声を出しながら政輝は体を反らす。
もどかしいと思いながら褌を解いて脱がせると、紅潮しながら固く反り返っている少年の男が姿を現した。
「舐めてもいいぞ…。」
唸るような声で政輝の指示が出る。
へいへい。
お望みの通りに。
っつーか一馬ですら口でしてあげた事ないのに…。

はあ~~~~~っ。
深い溜息をつきながら恐る恐る少年のものを口に含んだ。
しょっぱくて苦い味が微かにした。
最初は、先端の歪に出た所を舌でなぞったり突付いたりして遊ぶ。
「…ぅっ…。」
政輝は気持ちがいいらしくって、いちいち反応している。

そのままあたしは、口や舌を使って強弱をつけながら吸い上げた。
口から溢れる唾液や政輝の先端からの液でヌルヌルさせながら、根元は手で握って刺激を与える。
多分、あたしの人生でこの時程さっさと終わらせたかった事はないとおもう。
きっと風俗嬢ってこんな気分なんだろーな。
「…ぅあっ…あっ…あんっ…。」
さっきまであんなに威勢が良かった政輝は、今は色っぽい声を出して悶えている。

そのギャップが、何となく、ちょっとだけ、可愛いかな、とも思った。
口と手の動きを早めると、政輝の陰嚢が僅かに収縮して、竿ががビクンと跳ね上がった。
「あっ…来るっ……うわあぁっっ!!!」
えっ?
まじっ???
って思った瞬間、条件反射で口を離してしまった。
おかげで、政輝の先端から飛び出した生暖かくて白い欲望が思いっきり顔にかかってしまった。
が、が、顔射っすか…。
顔にべっとりついたそれをどうすればいいのか分からなくて、あたしは暫くその場に固まった。

「ぷぷぷっ。お前、変な顔してる。ほら、部屋の奥に水桶と手拭と花紙があるだろう。お前の顔のものを拭いたら俺のも拭え。」
拭えって、君。
自分で拭えんのかぁぁ!!!
ってな事は胸の内に秘めておいて、
「へいへい。」
と言って手拭を水で浸して絞って顔を拭く。

自分の始末が終わると、今度は少年の小さく収縮したそれを拭いてあげた。
っつーか何でこんな事あたししてるんだろ…。
これって完璧、子守???
何か考えるとすっげー惨め。
政輝は裸のまま偉そうに横たわり、無言で暫くあたしを観察していた。
と、ふと政輝が呟いた。
「次は、お前の尻を出せ。」

は??
今なんて???

「まだ終わっていないんだぞ。」
「い、い、いや、だってクソガキ…じゃなくて、政輝…殿…様?き、君はお疲れだろ?ぼ、ぼ、僕は本当にご主人様の所に戻らないとっ。」
こうなったら、逃げるが勝ちといわんばかりに、
あたしは立ち上がってクルリと踵を返そうとした。
「待てっ。」
バッターンッ。
はしっ、と履いている袴の裾を掴まれてあたしは無様にこけてしまった。

そのまま政輝はあたしの体の上をよじ登る。
「俺のいう事が聞けないのか?切腹だぞ?」
脅しとも、冗談ともとれる自嘲気味な笑みを浮かべながら、政輝はにじり寄った。
少年ながらも強い握力で肩を抑えてあたしを仰向けにする。
「??!!…何だこれは?」
あたしの懐に手を差し入れてきた政輝は、サラシを巻いた胸の谷間を発見して素っ頓狂な声を出した。
その直後、思いっきり股間をまさぐられる。
ちょっ…!!!!

「無い!!!!!…太郎……お前………女子なのか?」
ああ、どうしよ~~~~~っ!!!!

もう切腹だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……(←エコ~)。

と思った瞬間。

「マッサテ~ルサァァ~~マ♪」
とやけに陽気な声が聞こえた。
嗚呼、神様!!!
何だか分からないけど兎に角あたしを助けてくれたのね!!!
サンキュー(×100)!!
とか思っていたら、ガラガラガラっ、と乱交パーティー会場側の襖度が勢いよく開いた。
同時に、あたしと政輝は振り向く。

っつーかあたしは目を疑った。
そこには、提灯パンツみたいなでかパンツに、先っちょのとがったとんがりブーツを履き、ピエロみたいなヒラヒラな襞の寄った円形の布を首周りに被った赤ら顔で赤毛の変なガイジンが立っていたからだ。
「ドミンゴ。」
あたしの上に圧し掛かった格好の政輝は、小声でその奇抜な格好のガイジンの名前を呟く。

ど、ど、ドミンゴ??
フラミンゴ???
「オオ~ウッ。マサテルサマ、ハダカね~。オトリコミシツレーね。でもワタシマサテルサマ用事アリマ~スッ。」
「殿、失礼しましたぁぁぁ~~っ。止めようとしたのですが、どうしても緊急だと言って言う事を聞かなくて…はあっ!!!」
ドミンゴと呼ばれた男を止めようと後を追ってきたのか、侍従らしき侍はこの赤毛の乱入者に肘撃ちくらってあっけなくその場に崩れ落ちた。
「皆ワタシのジャマするね~。ケパサ??」
ケパサ(何事?)って、おっさん、あたしが知りたい…。

ゴホンッ、と政輝は咳払いをすると、あたしから離れて白い襦袢に袖を通す。
裸でも(あそこは半分勃ってたけど…これは見て見ぬ振り//////)、
その姿はどこか気品があって気高いオーラに包まれていた。
「で、ドミンゴは急いで俺の所に来て何の用だ?」
襦袢を着終えると、政輝は胡坐をかいて布団の上に座りさっきとはまた態度をコロリと一転させて厳しい顔つきでドミンゴと呼ばれた男の人に向き直った。

っつーか、あたしはどうすればいいんすか?
そろそろとこの場から逃げ出そうとすると、
「太郎。お前には聞くことがあるから、まだここにいろ。」
と感情の無い一言が降りかかった。
あたしはしょうがないので部屋の隅っこで体育座りをしながら様子を見守った。

「ホウコクでぇーす。今日ワタシコウザンデ指揮シテタネ。ソシタラ、ギンがタクサン発掘サレタネ。」
「それは真か!!」
パッと政輝の顔が輝いた。
「ソレデ、アンドレアンドレ、急いでホウコク、ココ来タネ~。」
ギン…銀?
鉱山??
そういえば、現代でも朧月城の名物は確か銀細工だったような…。
「ならば、すぐにでも幕府に報告をしなければいけないだろうね。」
小さな声で政輝は呟く。
っていうか、その前に!!

何故にこいつが指揮してんの?

こいつの父親は何してるの??

ちょっと待った。
今更だけど、思い出した。
細川政輝って名前、むかーし昔学校で読んだ歴史の教科書に載ってたような…。
詳しくは忘れちゃったけど、小さい頃から天童って崇められてて藩内で数々の改革と偉業をこなして、後に江戸時代きっての名君とか呼ばれて朧月藩を幕末まで栄えさえた……。
みたいな事が書いてあったような…。

部屋の中央で偉そうに胡坐をかいているクソガキの、
色白の整った顔をジロジロと見つめてみた。
このませ(エロ)ガキが、天童ぅぅ???

想像つかね~っ!!!
「イヤ、チョットマッタね。もう少しギントッテカラ、バクフにホウコクするイイオモウ。」
ドミンゴは両手を大げさに振って否定した。
政輝は顎に手を置いて
「そうだな…。」
と考えている。
でも。
あたしは聞いてしまった。

ドミンゴとかいうこの男が小声で素早く
『このガキは頭が切れるから用心用心。』
と呟いているのを!!!
何で分かったかって?
実は小学生の頃、父親の仕事の赴任先のメキシコに住んでいた事があったから。
だから、使ってないからもう殆ど忘れちゃったけど、大学もスペイン語学科だったし、今の会社も語学が役立てられる貿易関係。
その上、このラテン系のノリのメデタイ性格もそこで培われたってワケなのだっ。
あたしってば、意外な所で役に立ちそう…?

この朧月藩が幕府の命を受けて鉱山技術をスペインから学んでいるという事を、まだこの時は知らなかったんだけど…。



 
 
~その頃の一馬さん~


 カキーンッ、と剣のぶつかり合う音。
相手の太刀を一振りで払い落とす。
「ま、参りましたっ。」
相手の刀は数歩先に落ちていて、気づいたら一馬の剣が喉元で閃いていた。
「あの馬鹿は一体何処へ行ったのだ?」
藩主の仕官の話をやんわりと断った一馬は、ほどなくしてから神雷流の流儀を見せる為、明日香が待っている中庭にやってきた。

藩主や幕府のお偉い方を前に剣術の説明をし、実演していていながらも、見物人の中にいるはずの明日香を目の端で探していた。
しかし。
あの茶色い髪なら目立つはずなのに、何処にも見つからない。
あいつの事だから、また何かに巻き込まれた可能性は充分にある。
ふらふらと興味の引かれるまま城内を歩き回って迷子になったのかもしれない。

いちいち、手のかかる女だ。
放っておけばいい。
理性が静かに告げる。

最初から関わらなければ良かったのだ。
この間何が起きたか覚えているだろう?
抱く事の出来ない女を傍に置いておくつもりか?
一体いつまでこんな茶番を続けているつもりだ?
相手は得体の知れない女だぞ。

……だが。
そんな事は既に百も承知であった。

最近、手放せない理由がだんだんと自分でも分かってきたのである。
奉公人としては全く持って役に立っていないのに、気づくとあの女の一挙一動を目で追っているのだ。
茶色の髪から目を逸らす事が出来ない。
姿が見えないと不安を感じる。
「馬鹿者は案外俺なのかもしれんな…。」
早く終わらせてあいつを探しにいかなければ、と思いながら一馬は大名も含めた見物人に説明を続けた。

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