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未年の朝 11    07.31.2007


 行
きもそうだったけれど、帰りもあたし達は宿場に泊まる事にした。
宿場はいわゆる旅館みたいな所で、食事と宿を旅人に提供してくれる。
この宿にはお風呂があって、あたしは部屋に付いた途端喜々として風呂場へ向かった。
それはいわゆる五右衛門風呂で、そのまま釜茹でになっている超あっついお風呂。
いつも井戸の水で体を拭く程度だったあたしに、超久しぶりのお風呂は体を温め癒してくれた。
「あ~気持ちよかった。やっぱお風呂がないと生きてけないわ。」

濡れた髪の毛を結い上げて部屋に戻ると。
がらっ。
「あ。………ごめん、お取り込み中??」
ってあたしもここに泊まってんのになんで遠慮しなきゃならないんだっつの!!

目を向けた先には、さっきあたし達にご飯を盛っていた飯盛り女が一馬の首にしな垂れかかっていた。
一馬はあたしを一瞥して、一杯杯を口にする。
「悪いが、連れが戻ってきた。嫉妬深い性質なのでな。出て行ったほうが無難だぞ。」
そうクールに、首に纏わり付いていた女に告げた。
女は残念そうな顔をして、サラシをつけずに男物の着物を着ているあたしを上から下までジロジロ見つめて部屋から出て行ってしまった。

「な、何だったの今の??」
あたしは混乱顔で一馬の隣に腰を下ろす。
「商売の一つだ。ああやって宿泊客を相手にしている。」
「ふうん…。」
あたしが居なかったら一馬は相手にしていたのだろうか?
ちょこっと考えてしまう。
ポリポリと頭を掻きながら、あたしは空ろに一馬の前のお盆に視線を彷徨わせた。
煮魚のつまみに、美味しそうなお酒が乗っている。
食欲をそそるいい匂い。
「あっ、あたしもお酒飲みたい。今までカクテルとかしか飲んだことないんだよね。」
空いていた杯に熱燗に入ったお酒を注ぐと、あたしはぐいっと一気に飲み干した。
うっひゃあ~。
あたしにはアルコール度強すぎ!!
それでも、おつまみとよく合うお酒は美味しかった。
一馬は黙ってあたしを眺めていたけど、暫くして口を開いた。

「朧月城での事だが…。」
「ふぇ?」
酒のつまみを頬張っていたあたしは、突然一馬が口を開いたのでちょっとビビッて彼を見る。
「若殿は何故お前を側室にと所望した?」
若殿??
…馬鹿殿政輝の事?
「知らない。そんなのこっちが聞きたい位だよ。」
ホントに、大迷惑なんだけど。
「では、何故お前が女だと分かった?言ったのか?」
「ん…まあ…そんな感じ。」
「……曖昧な返事だな。」
っつーかこの質問の山は何??

「一馬酔ってる?」
お盆を見ると、もうすでに三本も空の熱燗の容器が畳の上に転がっていた。
あたしがお風呂に入っている間に飲んじまったんすかい??
「たったこれだけで酔ったりはせん。…それより。」
一馬は腰をあげた。
「俺も風呂に入ってくる。」
冷たく言い放って、さっさと部屋から出て行ってしまった。

 
 「わけわかめ…。」
何だったんだろう、今の?
あたしは存外美味しいおつまみを頬張りながらお酒を何本か空けると、ほろ酔い気分で二つ敷かれている布団の一つの上に大の字に横たわった。
元々表情が乏しい上寡黙な男だから、何考えてるのかさっぱり分からない。
嫉妬??
まさかねぇ。
でもちょっとは心配してくれてたみたい。

それよりも。
今日は本当に凄い日だった。
クソガキのせいであたしの一日が滅茶苦茶になってしまったけれど。

でも。
一馬の『妻』発言にはマジでビビッた。
何でそんな事言ったんだろ?
まあ、もちろんあたしが政輝の事嫌がっていたのは顔見れば、一目瞭然だったのかもしんないけれど…。
ふあ…。
ねむ…。
悶々と考えていたあたしは、そのまま気づかないうちに眠りに落ちた。

 


 
 「おい。」
一馬は声をかけてみた。
涎を垂らしながら布団の上で寝ている女はビクともしない。
「……。相変わらず色気が無いな。そんな格好をしていると風邪を引くぞ。」
「ん…。」

肩を掴んで揺り起こそうとしても、寝返りを打って体勢を変えただけである。
「本当に…。」
世話のかかる女だ。
最近口癖になった言葉を吐くと、一馬は彼女を抱きかかえた。
片手で彼女を抱きながら、もう片方の手で上掛けを捲る。
「かず…ま…。」
布団の上に下ろそうとすると、明日香の腕が彼の首に絡みついた。

「…な、何だ?」
んんっと唸りながら、明日香は一馬を引き寄せて布団に横たわる。
「かず…ま…あったかい…。」
明日香は目を覚ましたらしい。
物凄い至近距離で一馬を見つめてきたその目はトロンとしていて、
顔は赤く蒸気している。
「お前、酔っているな。」
訝しげな顔で一馬は見下ろしながら、首に巻きついている女の腕を解いた。

「はああ??酔ってなんか全然いましぇ~~~~んっ!!!」
明日香は元気良く返事をしたかと思うと、今度は一馬の袂をグッと掴んで睨みつける。
ちっ。
一馬は忌々しげに舌打ちした。
酔っ払いの相手をするつもりなど、更々無かった。
できれば今夜は、一人静かに酒でも煽っていたい気分だった。
「あんたこそ、酔っ払ってんでしょお???」
明日香は先ほどの風呂で湿り気を帯びた髪を振り払いながら、一馬に接近する。
やばいな…。

明日香の汗ばんだ胸元を見下ろして、一馬は一人ごちた。
サラシが巻かれていないそれは、寝返りによって大きく肌蹴けて豊かな胸を半分露出させている。
そのうえ、花のようなしっとりとした女の芳香が辺りに漂う。
「一体ねぇ~、あたしがどんな気分だったと思っているのよぉ~~~。
 あの、クソガキ政輝のお守をさせられてた時ぃ~~~!!!!」
言いながら、掴んでいる一馬の袂をグイっと引っ張る。

「いいから、もう寝ろ。」
一馬は彼女の手首を掴んだ。
相当、酔っているな。
横目でちらりと膳を見ると、一馬が頼んだつまみと酒が全て綺麗に無くなっていた。

「ね~む~く~ない!!ったく。あのクソガキ口癖みたいに切腹切腹って、生意気なのよ~。マセてるし、乱交パーティーなんてしちゃってるし、あ~んな趣味の悪い金色の部屋作っちゃうし、あたしの顔にかけるし。ああああ~~むっかつくぅ~~~!!!」

布団の隣に胡坐を掻いて座り直しながら明日香の戯事を聞き流していた一馬は、
ある一言にピクリと反応した。
「顔にかける?どういう意味だ?」

「そう、顔にかけやがったのよ!!!だあって、あのクソガキを喜ばせないと一馬んとこ返してくれないとか言うし、切腹とか脅すし、しょーがないから明日香さん一発抜いてやったんだから!!!なのに、なのに、顔射なんてしやがって。あたし、あたし、今まで誰にもされた事ないんだからぁぁぁ!!!」

言いながら、明日香は突然布団の上に顔を伏せて泣き出した。
一馬は聞きながら、自分の眉間の皺がどんどん深くなっていっている事に気付いていなかった。
「お前…お守とは、そういう事をしていたのか?」
低くて感情の抑えた声が零れ出る。
「さ・せ・ら・れ・て・たの!!!」
「それで…女子と知られたのだな。それから、何があった?政輝殿はお前を抱いたのか?」

心なしか、彼女の手首を掴んでいる手に力が入った。

俺は一体何に動揺しているのだ?

全く持って大人気ない。
それに、先の時代から来たというこの女を抱くのは不可能な筈だった。
少なくとも、自分では無理だった。
そう分かっていながらも聞かないではいられなかった。

「あ~んなクソガキが抱くわけ無いじゃ~~んっっ!!!言ったでしょ、フェラしてあげただけ!!!」
明日香は伏せていた顔を上げて、再び半酔いの眼で一馬を見上げる。
「ふぇ…ら?何だそれは?」
不機嫌な声で呟く一馬の掴んでいた手を振り解いて、明日香は半身を起こして隣で胡坐座りの一馬の、寝巻き用の襦袢の裾に手を這わせた。
「?!な、何をしている?!」

険しかった表情が、一瞬にして驚きの入ったものに変化する。
明日香は遠慮無しに一馬の褌の暖かい塊に手を触れた。
前垂れと前袋を横に除けて、彼のモノを取り出した。
「…っ!!!!」

明日香は無言で彼の男を上下に摩りだす。
「ま、待て!!別に俺は何も実演しろとは……オイ!」
一馬の焦りを含んだ言葉も、その作業に熱中しだした明日香には届かない。
彼女のたどたどしいながらも絶妙な愛撫で、すぐに一馬の男は熱を帯び固くなった。
天を仰いで反り返った彼のモノを、花のような唇に含む。
「……うっ。」
吸い付かれながら舌先で鈴口をなぞられると、思わず不覚ながら一馬の口から小さな喘ぎが漏れた。

このように、女に奉仕させたのはいつが最後だったであろうか?
商売女以外の女子にここを触らせるのは、初めてだった。
一馬の手は思わず、前かがみになっている明日香の着物の袂に手を差し入れそうになる。
が、ギリギリの所で理性がそれを止めた。
相手は酔っている。
酔っている女相手に何を本気になっているんだ?

どうせなら、素面の明日香を抱いた方がましであろう?
いや、この女を抱く事は出来ない。
……ならば、俺は何をしたいのだ?
ギリッと、一馬は奥歯を噛み締めた。
そんな一馬の葛藤などお構い無しに。
明日香は相変わらず真剣な表情のまま、
喉の奥の方まで大きめの一馬の男を咥えて、味わっている。

「……っ。…どこでそのような技を覚えた…?」
このような快楽をあの若殿にも与えたのかと思うと、一馬の胸の奥底に不快な靄が広がった。
俺は、一体何を考えている?
彼女の手は怒張した自身のみならず、その下の陰嚢まで弄り始めた。

「…そこも、舐めてみろ。」
あまりの気持ち良さに、思わず指示を出してしまう。
明日香は無言で舌をチロチロさせて太い竿を下りながら一馬の袋を、
その表面の皺を伸ばすように舐めていく。
一馬は時折、苦悶の声を漏らした。

彼女は時々しゃっくりを繰り返しながらも、彼の男に執拗なほど快感を与え続けていた。
この女を抱く事が出来ないという事実に多少落胆しながらも、一馬は彼女の与える快楽に身を委ねた。



宿屋の客は皆寝静まったらしい。
梟の不気味な鳴き声が外から聞こえるな、などと朦朧とした意識の元漠然と考えていると。

その時は来た。

急いで明日香の小さい肩を掴んで押し放そうとした。
「明日香っ、放せ!」
切羽詰った一馬の声が聞こえたのか聞こえなかったのか。
一向に口での愛撫を止めない明日香は、その一声に反応するが如く更に深く彼を咥えこんだ。
「……つっ。」

どくどくと。
一馬の欲望が開放されて明日香の口の中に飛び散る。

「ん……。」
長い間このように口で慰めてもらった事がなかったそれは。
大量に噴出されて明日香の口に流れ込んだ。
明日香はどのような表情をして一馬の情熱を味わっているのだろうか。
だが、俯いている上半渇きの茶色い髪に隠され、その顔は見えなかった。

全て出し終える。
やっと小花のような口から開放され、明日香の顔を覗きこむと。
彼女はむせながら苦悶の表情をしていた。

細い肩に触れると、体が小刻みに震えてるのが分かった。
「無理なら飲むな。出せっ。」
まさか全て飲み下すとは思っていなかった一馬は、心配になって明日香の顎を持ち上げ、口元に手を出した。
よく見ると、涙目になりながらも全て飲み干したようだった。

一馬は無言で明日香の体を優しく抱いてやる。
腕の中の女は俯いたまま、まだ体を震わせていた。
「どうした?」
不思議に思った一馬は声をかけた。
「ん………っ。」
明日香は手で口を覆うと、思いっきり顔を歪めた。
「かず…ま……。キモイ……。ごめっ…やばっっ!!!!」
「なっ!!」

 








 
 
ピィィーーーーーーーーーッ。

(注:非情に見苦しい映像となっておりますので、作者の都合と主人公増子明日香の強い要望によりカットさせていただきます。)






 
 
 
 

 
 
 
 「ええ!!!何かあったの?全然覚えてなーい!!!っていうか、何であたし違う着物着てんの?」

翌朝目が覚めて。
あの後綺麗に後始末をさせられ、もう一度風呂に入り直すハメになった一馬は、苛々しながら明日香を叩き起こした。
「覚えておらんだと?」
無邪気な明日香を見て、苛々しながら聞き返す。
「昨夜自分が何をしたか覚えているか?」
との一馬の問いに、いつもの寝起きのボケ面で答えた明日香の声を聞いて。
ピキピキピキッと血管の切れる音に加え、彼の眉間の皺がより一層深くなった。
「覚えておらんのなら、良い。」
一馬は、不機嫌な顔で支度を始めた。
昨夜彼女によって汚された着物(一馬自身が手洗いしたらしい)を明日香に放って投げる。

冷たく一言。
「お前が持って帰れ。」
全ては酔いの勢いで、何一つ覚えていない明日香は二日酔いで頭痛を感じながらも、のろのろと身支度を整えた。


家に辿り着くまで、どうして一馬が始終無言で不機嫌だったのか
皆目見当のつかなかった明日香さんでした。

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